本研究では、テラヘルツ帯でこれまで世界最高性能を示したSISミキサを改良することで、さらなる性能向上を目指した開発を実施した。従来同調回路部に用いていた高周波損失のあるAlを置き換えるためのNbTiNが、テラヘルツ帯で低損失であることを実験的に明らかにした。NbTiN配線とNb接合を接続した際のエネルギーギャップ差により生じる接合の電流-電圧特性の劣化をNb電極の厚さを増大することで低減することに成功した。新たに設計・試作したSISミキサは若干のギャップ電圧の低下を示したが、これは現時点での作製プロセスの制約から上下部のNb電極の厚さが不十分であることが原因であり、今後の有益な開発指針を得た。
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