• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

通信波長帯動作するサブバンド間遷移フォトダイオードの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26420333
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

牛頭 信一郎  独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (90392729)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードサブバンド間遷移 / 光吸収 / 漏れ電流
研究実績の概要

通信波長帯動作するサブバンド間遷移によるフォトディテクタ(QWIP)作製のため、通信波長帯でサブバンド間遷移に起因する光吸収がある結合量子井戸の分子線エピタキシ(MBE)成長を行った。本結合量子井戸はInP基板上にInAlAs/AlAs/InGaAs材料系で成長した。明瞭な光吸収を確認できた構造をn型導電性InP基板上に60周期成長し、基板裏面と成長表面に電極を形成して電流ー電圧(IV)測定を行った。その結果、一般的なQWIPと比較して漏れ電流が大きいことが判明した。そこで結合量子井戸の導電性を評価したところ、残留キャリア濃度が高いことがわかった。理想的には井戸層がn型導電(N)層、バリア層が絶縁(I)層として働くこため、抵抗値が高くなる。しかし、残留キャリアの存在によりN層-N層構造となっていたため抵抗が低く、漏れ電流が大きくなっていた。そこで、MBE成長条件の最適化や新たな絶縁層の導入により数桁の高抵抗化を実現した。また、量子準位に共鳴して電流が流れる事によって発生する負性抵抗も観測できた。一方、年度当初にMBE装置に不具合を抱え、修理に時間がかかった。その間にQWIPに使用する結合量子井戸構造のバンド構造および光吸収特性をより深く理解するために、光学実験と計算を行った。その結果、バンドの非放物線性が大きな寄与をしていることがわかった。詳細は論文にまとめているところである。この結果はQWIPのための量子井戸構造の最適化に重要な知見を与えるものであり、今後有効活用していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画では初年度にサブバンド間遷移による光検出を目標としていた。しかし、MBE装置の不具合などにより実験が遅れ、目標は達成できていない。しかし、量子構造に起因する負性抵抗の観測など着実な進歩もしている。一方、通信波長帯でサブバンド間遷移による光吸収を示す結合量子井戸のバンド構造及び光吸収特性の理解を深める光学実験・計算を並行して行えた。この結果は今後の研究に大きく役にたつ。これらのことを総合的に考えて達成度を(3)やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

本年度は昨年度達成していない光検出を早々に達成し、導波路構造の作製にとりかかる。導波路構造の設計を所有市販ソフトによって行う。設計に必要な各層の屈折率は過去の実験データを利用する。導波路構造は通信波長帯以外の波長でも最適化を行い、QWIPの受光特性を評価できるようにする。導波路構造デバイスの評価結果をフィードバックして量子井戸構造を最適化し、最終的には一般的なQWIPと同等の量子効率・ノイズ特性を有する通信波長帯用QWIPを作製する。

次年度使用額が生じた理由

理由は2つある。(1)計画していたプリセッション・ソースメジャーユニットの購入時に新品同様の新古品を見つけることができ、予定よりも安価に手に入れられた。(2)分子線エピタキシ装置の不具合解消に時間がかかり、サンプル作製にかけられる時間が減った。そのため、予定していたデバイス作製に遅れが生じ、その分の予算が未消化になった。

次年度使用額の使用計画

デバイス作製の回数を増やし、昨年度の遅れを取り戻す。安価に購入できた分は、デバイス評価に関わる消耗品等で使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ミニバンド構造を有する結合量子井戸のサブバンド間遷移光吸収特性2014

    • 著者名/発表者名
      牛頭 信一郎, 物集 照夫
    • 学会等名
      第75回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-09-19

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi