本研究では,位相限定相関(POC: Phase-Only Correlation)関数を用いた信号マッチング技術に関して,方向統計学の観点からPOC関数のさまざまな数学的性質を明らかにした.まず,2信号の位相スペクトルを2変量確率変数と仮定した場合のPOC関数の統計的性質の定式化を行った.次に,信号に白色ガウス雑音が重畳したときの位相スペクトル変動に対するPOC関数の変動の評価を行った.さらに,POC関数のピークとサイドローブを判別するための基準を与えるため,位相スペクトル差を確率変数と仮定した場合のPOC関数の確率密度関数の導出を行った.
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