研究計画最終年度である平成28年度は,これまで開発してきた構造が実用化に耐えうるかを焦点に実験及びシミュレーションを行なった.特に提案している構造は構造単体では実用的なアプリケーションが開発できない.そこで本年度は実用化を視野に入れて構造の近くに物があることを想定し,構造にさまざまな角度で入射波が当たった際の特性を明らかにするにする手法ついて検討した.また,同時に実用化に関してはその周波数帯域が問題となる.一般的に構造の近くにものがあるとその周波数特性は意図するところからずれてしまう.すると,対象とする周波数で動作しなくなってしまい実用に耐えられなくなってしまう.本年度はこの上記二つの観点で研究を進めた.それぞれの成果を下記に示す. まず,一つ目の構造にさまざまな角度で入射波が当たった際の特性を明らかにする手法については,研究代表者はシミュレーション的に明らかにした.特にシミュレーションは非常に困難であることが知られているが,代表者はシミュレーションに信号処理的手法を組み込むことにより角度特性を明らかにした. そして二つ目の視点である,広帯域化については開発している構造の近くにやや形の異なる構造を配置することでこれまでよりも大幅に帯域が広くなることを示した. これら成果により開発している構造の実用化に目処がついたものと考えられる.また,上記成果を国内外に積極的にアピールするためにいくつかの国内の研究会や海外で開催される国際会議で報告しその成果を示した.
|