研究課題/領域番号 |
26420344
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
Kim Minseok 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40467030)
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研究分担者 |
青柳 貴洋 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (10302944)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動作識別 / 伝搬路特性 / 機械学習 / BAN / コンテキストアウェアネス / ウェアラブル / 情報通信工学 / 動作同定 |
研究実績の概要 |
当年度では,伝搬路の時空間特性による人体状況の同定法の確立を目指して,次の項目を実施した. 1)信号設計と伝搬路測定法の開発:人体状態の同定に必要な情報が容易に取得できる測定用信号を,実用性を考慮して狭帯域信号と広帯域信号に分けて検討し,狭帯域CW信号を用いて伝搬損失の時間変動から特徴量を抽出する方法を開発した.評価のために,伝搬路の相反性により,コーディネータノードから測定用信号を送信し,各センサにおいて同一時間に受信された信号を用いて伝搬路推定(伝搬損失時間変動の取得)を行った. 2)信号処理手法の開発:伝搬路の時空間特性である受信レベル変動や,ドプラー周波数と相関時間,レベル交差率などの統計情報から得られた特徴量に対して,機械学習処理を行い人体状態の同定する方法を開発した. 3)測定による評価:H26年度に開発した測定計を用いて様々な動作シナリオでのマルチリンク伝搬路測定を繰り返し行いながら,同定手法の開発と評価を行った.伝搬路特性だけでなく,加速度センサの物理情報を用いる場合と,両方を混用する場合の効果についての評価も実施した.9つの動作シナリオに対して実施した評価では,加速度センサを用いた場合,約76%の識別率となったが,本手法(伝搬路情報を用いる方法)により,約80%の識別率が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の実施目標は,伝搬路の時空間特性による人体状況の同定法の確立であり,下記のように概ね達成できている.また,次年度以降の実施内容に関しても検討に着手しており,最終目標達成に向けて順調に進んでいると思われる. 1)信号設計と伝搬路測定法の開発:CWを信号を用いて特徴量を抽出する方法を開発した. 2)信号処理手法の開発:機械学習処理の一つである決定木を行い人体状態の同定する方法を開発した. 3)測定による評価:9つの動作シナリオに対して測定を実施し,加速度センサと伝搬路特性を用いる方法の性能比較を行った. 4)次年度以降に行う項目として,人体動作認識に基づく省電力伝送方式の検討に着手した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果の体系化と問題を補完する.一部当年度から着手しているが,最終年度には【人体の状態による伝搬路状態の分類とモデル化】を目指す. 1)人体の状態と伝搬路状態の関係付け:人体の状態と伝搬路状態との関係を調査し,人体の状態の同定から逆に伝搬路状態をもっとも支配的な特徴量あるいは伝搬パラメタで分類することに挑戦する.これは,通常の無線システムにおける伝搬路推定とは異なり,人体の状態を総合的に表すもので,BAN にもっとも適した情報になることを期待する. 2)伝搬路状態のモデル化: 伝搬路状態の具体的なモデル化を行う.高効率・高信頼性の実現の観点から,IEEE 標準で規定されているスター型ネットワークの直接通信あるいはマルチホップ通信モデルを用いてコンテキストアウェア通信の有用性を示す. 3)測定される伝搬路特性には,アンテナと回路の特性を含んでおり,純粋に人体の影響のみを含んだ伝搬路の特性を得ることができないため,実用化へ向けてこれらの特性にロバストな方法開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当年度には,出張回数が計画したものより少なくなったため,未使用分が発生している.(一部は実験用物品代に流用した)
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表にかかる旅費と論文投稿の費用として充当する計画である.
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