【伝搬路の時空間特性による人体の状態の同定法の確立】 信号処理手法の開発:2年目に確立した伝搬路測定法を用いてコーディネータノードから測定用信号を送信し,各センサにおいて同一時間に受信された信号を用いて伝搬路推定を行った.伝搬路の時変動特性である受信レベル変動から抽出した特徴量を用いて人体状態を同定する手法を開発した.測定された受信レベル特性には,アンテナと回路の特性を含んでおり,純粋に人体の影響のみを含んだ伝搬路の特性を得ることができないため,機械学習法(決定木)に基づく信号処理手法が適していることを確認した. 測定による評価: 初年度に開発した測定系と2年目に確立手法を用いて様々な動作シナリオでのマルチリンク伝搬路測定を繰り返し行いながら,同定手法の開発と評価を行った.伝搬路特性だけでなく,加速度センサの物理情報を用いる場合と,両方を混用する場合の効果についての評価を行った.その結果,静的な動作において提案手法が従来の加速度センサを用いる方法より優れていることが確認できた. 【人体の状態による伝搬路状態の分類とモデル化】 人体の状態と伝搬路状態の関係付け: 人体の状態と伝搬路状態との関係を調査し,人体の状態の同定から逆に伝搬路状態をもっとも支配的な特徴量あるいは伝搬パラメタで分類する方法を開発した.これは,通常の無線システムにおける伝搬路推定とは異なり,人体の状態を総合的に表すもので,BANにもっとも適した情報になることを期待できる. 伝搬路状態のモデル化: 伝搬路状態の具体的なモデル化を行った.高効率・高信頼性の実現の観点から,IEEE標準で規定されているスター型ネットワークの直接通信あるいはマルチホップ通信モデルを用いてコンテキストアウェア通信の有用性を示した
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