研究実績の概要 |
研究代表者が新規に提案している「一括多チャネルQAM光変調装置」の実証実験を実施した。最終的な構成での光変調器を用いて光信号処理を行う実験は,いまだ,継続中である。 しかし,最終的な構成ではないものの,光変調器を用いる代わりにミキサを用いて,一括多チャネルQAM変調の実験を行い,研究代表者の知る限り世界で初めて成功した。実験では,111MHz,147MHzの2つのチャネル搬送波を,それぞれ2分岐し,サイン波成分とπ/2位相遅延したコサイン波成分に分け,各成分で周波数多重する。2波周波数多重されたサイン波成分はミキサにより映像のI成分(同相成分)で一括変調する。また,2波周波数多重されたコサイン波成分はミキサにより映像のQ成分(直交成分)で一括変調する。これら2つの出力信号を合成することで,多チャネル一括QAM変調方式における被変調波信号が得られる。得られた出力信号を受信機のQAM復調器により復調し,コンスタレーションを測定した。測定したコンスタレーションは良好であり,搬送波ごとにQAM変調する従来方式に比べて,本提案の一括QAM変調方式によっても,EVM値は,ほとんど遜色なく,16QAMで,16.59~16.83,また,64QAMで,9.80~9.88であった。 なお,情報信号(I,Q信号)は,疑似ランダムパターン信号であり,シンボルレートは5.274Mbaudに設定した。 実験では,16QAM,及び64QAMのどちらの方式においても,同一情報信号で一括QAM変調された2つのチャネル搬送波のそれぞれから,情報信号を復調することができた。これにより,一括QAM変調方式を実証することができた。
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