平成28年度は、ハードウェアの試作および性能評価と発展的な画像処理技術の検討を中心に研究を行った。研究計画に挙げた各テーマにおける具体的な検討内容と成果は以下の通りである。 (1) VLSIの試作および性能評価 スパースコーディングに基づく画像処理を医療画像や超高精細画像に適用するためには,ハードウェ化が不可欠である.そのために画像をスパース表現するための処理のハードウェア実装を前提としたアルゴリズム設計と評価が必要である。当該テーマでは,スパースコーディングの規定選択及び係数決定のためのOMP法において,Cholesky 分解を用いた高速化アルゴリズムを導入したプロセッサ設計を行い評価した。研究成果については学会発表を行った。 (2) 発展的な画像処理技術の検討 画像のノイズ除去処理においては,含まれるノイズ量の正確な推定とそれに応じた処理が重要である。医療診断に用いられるX線画像は主にポアソンノイズを含むため、画像の特性に依存しないガウスノイズとは異なる手法を適用する必要がある.ここでは,スパースコーディングおよびNLMによるノイズ除去において,ポアソンノイズ除去に適したパラメータ設定を画像特性に適応的に行う手法を開発した.また,スパースコーディングの基底選択の高速化アルゴリズムの開発として,初期内積値順位に基づく探索に加え,係数最適化後の残差予測に基づき係数最適化回数を削減する手法を開発した.これらの研究成果については学会発表を行った。
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