研究課題/領域番号 |
26420351
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀 俊和 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10343188)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メタ・サーフェス / 周波数選択板 / 偏波変換 / 反射位相 / 反射振幅 / 反射方向 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、反射位相を任意に制御できる人工媒質構造「メタ・サーフェス(meta-surface)」の設計・構成技術を確立するとともに、反射面における円偏波-直線偏波変換等の新たな反射性能を有する特異な反射面を実現し、適用領域の開拓を行うことである。初年度である平成26年度は、本研究を推進するための重要な要素技術である任意の反射位相を持つ有限構造メタ・サーフェスの設計法の確立、および円偏波-直線偏波変換反射板等の特異な反射面の設計法の確立を目途に研究を推進した。 研究においては、パッチ型、ループ型、およびループスロット型の周波数選択板(FSS)と地板から構成されるメタ・サーフェスを提案し、メタ・サーフェスの持つ基本特性を明らかにした。同時に、自然界には存在しない反射位相が0°となる完全磁気導体の実現の可能性についても明らかにした。さらに、任意の斜め入射波に対するメタ・サーフェスの反射特性についても特性把握を行った。これらの結果に基づいて、任意の反射性能(反射方向、反射位相、反射振幅)を持つメタ・サーフェスの設計法について検討を行い、実現の可能性を明らかにした。 また、メタ・サーフェスの構成要素である周波数選択板として、新たに2層構造の周波数選択板を提案し、反射性能を確認するとともに、ビーム走査を含めた新たな機能を有するメタ・サーフェスの実現の可能性を見出した。さらに、周波数のマルチバンド化についても検討し、用途に応じた新たなメタ・サーフェスの提案を行った。 これらの検討に基づいて、円偏波-直線偏波変換機能を有するメタ・サーフェスの提案を行い、偏波変換特性に加えて、使用可能な周波数帯域の広帯域化についても検討し、新たな機能を有するメタ・サーフェスの実現の可能性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究項目について精力的に研究推進し、後述の通り学術論文1件、国際会議9件、国内研究会6件の他、国内大会10件を加えた研究成果を得ている。 前項9に示した「研究実績の概要」に加えて、これらの研究成果(外部発表)からも明らかなように、新たな提案、新たな構成のメタ・サーフェスを創出しており、その実現の可能性を明らかにしていることから、予定通りの研究が進んでいると考えている。 今後、さらに新たな構成のメタ・サーフェスを創出するとともに、これらを用いた特異な反射面の設計法を確立し、適用領域の開拓を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度から最終年度である平成28年度にかけては、平成26年度に設計法を確立した任意の反射性能を持つメタ・サーフェスおよび特異な反射面の設計法のより高度な設計法の確立を図る。また、適用可能対象が確定していないメタ・サーフェス技術の新たな適用領域の開拓の一環として、これらのメタ・サーフェスおよび特異な反射面の設計法に基づいて、アンテナ小形化及び高性能化技術を確立する。さらに、これらの技術の電波伝搬分野での適用領域の開拓を目指して、メタ・スペースを実現するための基礎検討を行い、メタ・サーフェスに要求される反射特性を明らかにするとともに、メタ・スペースの最適設計法の確立を行う。 具体的には、(a)特異な反射面を用いたアンテナの小形化技術の確立、(b)特異な反射面を用いたアンテナの高性能化技術の確立、(c)基本空間における反射波の位相制御の影響の解明、(d)メタ・サーフェスおよび特異な反射面を用いた位相制御方法と制御限界の確認、(e)メタ・サーフェスおよび特異な反射面を用いたメタ・スペースの最適設計法の確立を行っていく。
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