研究課題/領域番号 |
26420358
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡本 好弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20224082)
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研究分担者 |
仲村 泰明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (50380259)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 二次元磁気記録 / 瓦磁気記録 / マイクロ波アシスト磁気記録 / 2D-PRチャネル / アレイヘッド |
研究実績の概要 |
本研究は、情報ストレージ装置の中核をなすハードディスク装置(HDD:Hard disk drive)において、高い信頼性を維持して高密度に情報を記録・再生するための信号処理方式を開発することを目的としている。瓦磁気記録 (SMR: shingled magnetic recording) 方式を想定し、アレイヘッドを適用した場合の信号処理方式の開発のため、26年度は以下の検討を行った。アレイヘッドの再生素子数及び走査位置によって再生される波形に含まれる信号と干渉成分が異なるため、①1ビットの情報が記録される領域の磁性粒子をシミュレータにおける画素単位に分解し、信号含有率の可視化等により高SN比が得られる走査位置を求めた。②これにより、ジッタなど媒体雑音の影響の大きな走査位置が明らかになった。③2または3つの再生素子を備えたアレイヘッドについて二次元等化を適用する場合に良好な特性を示す再生素子配置を明らかにした。さらに、2トラックの記録系列に対するパーシャルレスポンスチャネルに対する復号器の基礎検討を行ったところ、1トラックのPRチャネルの場合に比べて良好な特性を得られる可能性が明らかとなった。 エネルギーアシスト磁気記録の一つとして注目されているマイクロ波アシスト磁気記録 (MAMR: microwave-assisted magnetic recording) を採用した記録過程のシミュレータへの組込みを行ったところ、ビット端の彎曲やジッタなどの低減による記録状態が改善されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
瓦磁気記録の磁化パターンより記録系列パターンによるビット(記録情報の)信頼度が異なることが明らかとなった。 また、アレイヘッドを適用して適切な走査位置を選ぶことで誤り率の改善が得られることが明らかとなった。ところが、ヘッドスキューによりアレイヘッドの全素子が所定の走査位置を保持できないため大きな損失を招くことが明らかとなった。 LDPC符号の復号器入力を得るためのチャネル復号器の複数トラック化について検討し、1トラックの記録系列に対するチャネル復号器に比べて良好な特性が得られる可能性が見い出せた。
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今後の研究の推進方策 |
隣接する複数トラックの記録系列に対するチャネル復号器の検討を詳細に行い、記録パターンに依存するジッタ、記録時のトラック間干渉を含めてPRチャネル出力を推定する機能を備えたチャネル復号器の検討及び複数チャネルの記録系列に対して繰返し復号を効果的に行うシステム構成について検討する予定である。また、アレイ再生ヘッドにおいて、ヘッドスキューによる所定トラックからのオフセットの影響を低減する再生素子配置を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワークステーション及びシミュレーション実験等に対する院生への謝金を予定額よりも低く抑えることができ、成果報告のための旅費、学会への参加費に充当したため、予算に比べると少額ではあるが、8,379円が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度へ8,379円を繰り越すため、予算は1,708,379円となるが、計画と大きな変更はないので、旅費または人件費に加えて使用する予定である。
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