平成28年度はPLC型モード分波器の広帯域化に関する研究およびモード混合を光学的に低減する新機能素子に関する研究を行った。 PLC型モード分波器のモード分離部分を多段構成にすることで広帯域化を図ることを考案し、2種類の構造(以下、直列型、直並列型と記載)を提案した。各々、2段構成の場合に関して数値解析により帯域特性を評価し、また得られた知見から各々の特徴をまとめ、学会報告を行った。直並列型は広帯域化と低損失化を両立でき、かつ製造時のばらつきによる特性の変化も小さい優れた構造である。ただし、分離後のモードが単一モードではないため、用途が直接受光する場合などに限られる構造である。この成果は国際学会にて発表した。直列型は分離後のモードがすべて単一モードとなり、送信部でのモード合波にも使用できる汎用性が高いが、広帯域化と低損失化の両立をはかるためには寸法の調整がシビアな構造である。この成果は国内学会にて発表した。 モード混合を光学的に低減するための方法としてインライン型モードフィルタにより不要なモードを除去するを用いる方法に関して検討した。これまで高次モードを選択的に減衰させる方法は光ファイバの曲げ損失のモード依存性を利用する方法が広く知られ、用いられているが、逆に基本モードのみを減衰させる簡便な方法がしられていないため、長周期ファイバグレーティングを用いて基本モードのみを減衰させるモードフィルタを提案した。この方法の実験を行い、全光パワー中の高次モードの割合を向上できることを確認した。この成果は国内学会にて発表した。ただし、原理確認実験では高次モードに対する損失も大きかったため、実際に使用するためにはさらなる検討が必要である。
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