研究課題/領域番号 |
26420367
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
小畑 博靖 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (30364110)
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研究分担者 |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
石田 賢治 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (70221025)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ネットワーク・LAN / 無線LAN / 改造端末 / 通信品質制御 |
研究実績の概要 |
平成27年度では、以下のように無線LAN環境におけるMAC改造端末の検出・制御技術に関して検討した。 (1)前年度に検討したMAC改造端末を検出するための新たな検出指標の特性を評価した。その結果、提案した検出指標は2つの評価指標パラメータを用いることで、従来方式よりもMAC改造端末の動作を特徴付けることが可能なことを確認した。しかし、MAC改造端末が改造の隠蔽を試みた場合、隠蔽度合いが高いと検出が困難な場合があることが分かった。そこで、検出指標の時間変化を考慮して改造の隠蔽を試みるMAC改造端末の検出方式を検討した。シミュレーション評価の結果、提案方式はある特定の条件下において、改造隠蔽を試みるMAC改造端末を検出可能なことを明らかにした。 (2)MAC改造端末の制御技術として、TCPを利用する端末のスループットを制御する方式を検討した。提案方式は、TCPの確認応答セグメントに含まれる受信ウィンドウサイズをアクセスポイントにおいて書き換えることで、制御対象となる端末のスループットを調節する。シミュレーション評価の結果、提案方式は、特定端末のスループットを調整可能なことを確認した。また、前年度に検討した結合振動子の同期現象に基づく無線LANメディアアクセス制御を利用したスループット保証制御の特性を評価した。その結果、TCPフローの場合、伝搬遅延時間が変化するとスループットを十分制御できない場合があることが分かった。 (3)MAC改造端末の検出に利用可能な要素技術として、マルチレート無線LAN環境におけるスループット予測法を検討した。提案方式は、各端末の伝送レートを用いるだけで、アクセスポイントに接続する全端末のスループットを予測可能となる。シミュレーション評価の結果、提案方式は従来方式よりも高速にスループットを予測可能なことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、秩序のある効率的な無線LANサービスの提供を目指し,MACパラメータを改造したMAC改造端末の検出および制御を統一的に行う通信品質制御技術を開発している。2年目では、初年度に検討したMAC改造端末の検出技術の特性評価および改良を行った。また、初年度の基礎検討を基にMAC改造端末の制御方式を提案し、基本的性能を明らかにした。また、得られた成果の一部は、電子情報通信学会の論文誌、IEEEの国際会議、および、電子情報通信学会の研究会等において発表しており、概ね計画通りに進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は以下のように研究を進める予定である。 まず、平成27年度に検討したMAC改造端末の検出技術および制御技術のさらなる評価および改良を行う。また、実際の無線LAN環境で一般的に用いられるマルチレート伝送を考慮した評価も行い、より現実的な環境を想定した検討を行う。次に,前年度までに提案したMAC改造端末の検出技術と制御技術を統合した技術を検討する.また,検討した統合技術を計算機シミュレーションにより評価する.シミュレーション評価では、検出から制御までに要する時間や帯域利用率等の観点で評価する。また、シミュレーションにより効果が明らかとなった後、実機での実証実験を行う。ここで、実装では、コードの改造が比較的容易なLinuxへの組み込みを検討する。さらに、これらの実証実験により開発技術の改善点が判明した場合、開発技術のさらなる改良を行う。また、得られた成果の国際会議での発表や学術論文への掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりも近い地域への出張があったことと、出張前に想定していた移動経路よりも、実際の出張時にはより安価な移動経路を利用できた場合等があったため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに提案している技術の実装および評価を行う必要があるため、今回の残額と次年度の研究費を合わせて利用する予定である。また、これまでに得られている成果を国際会議や研究会等で発表するための旅費および別刷り代としても利用する予定である。
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