本研究課題を通してディジタルテレビ放送信号により伝達される緊急警報放送信号を確実にキャッチする受信方法を研究した。 1. 従来のDBPSK復号方法と比較して、圧倒的に低い誤警報確率にて緊急警報放送信号を受信する方法を提案した。誤り訂正のためのパリティを緊急信号の受信のみに用いる提案法は、Eb/N0が20 dB程度の弱電波強度下においても、従来法と比較して誤警報確率を3桁以上低減できることを明らかにした。一方、見逃し確率を低減するために、周波数方向に配置された複数サブキャリヤを最大比合成する効果を確認し、見逃し確率と誤警報確率が低減されることを示した。さらに、本研究で得た知見を応用して、これまで伝送シミュレーションにより求められてきた従来の誤り訂正を用いたビット誤り率特性の導出は行われてきた。従来法の特性を求めるための閉じた形の解析式を導出した。 2. テレビ放送局に対して、運用規定などの規制範囲内でのフォーマット変更が可能になれば、受信機がより確実に緊急信号を検出できるようになることを示した。具体的には「ネクスト情報」「異なる伝送モード」を活用するものである。 3. 日本のディジタルテレビ放送には、もう一つの警報「緊急地震速報」がある。終了状態を表す信号は「いわゆる終わったこと」なので情報をほとんど含まないことに着目し、本研究の成果を適用した新しい緊急地震速報信号の検出方法を考案した。 4. PCおよびISDB-T信号発生器を用いた予備実験により、通常時においては緊急警報放送の復号アルゴリズムよりもむしろ、その他の付加的動作(例えば電子番組表の自動取得など)の実装依存部分の消費電力が大きいことを確認した。また、緊急警報放送信号および緊急地震速報信号の受信に特化した低IF受信機構成した。あらかじめ周波数テーブルを持ち、これらの信号を一括復調して周波数ダイバシチ効果を狙うものである。
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