研究課題/領域番号 |
26420371
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
野村 亮 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (90329102)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シャノン理論 / 有限長解析 / 情報源符号化 / 通信路符号化 |
研究実績の概要 |
本研究は情報理論に基づき確率構造が未知のネットワークにおける高信頼符号化に関する研究を行うものである.代表的な通信モデルとして1. 情報源符号化,2. 通信路符号化の二つの問題がある.本研究ではこれらの問題に置いて誤り確率を適切に設定すると確率構造が未知の状況が混合情報源,混合通信路で表されることに着目し特に混合情報源,混合通信路を対象として解析に焦点を置いている.平成28年度は次の成果を得た. 1. 有歪み情報源符号化において,一次達成可能レートの一般公式を導いた. 2. 一般の混合を対象とした混合通信路符号化問題における二次最適レートを導いた. 3. 誤りを許すコスト付き可変長符号化において,達成可能レートの一般公式を導いた.
1. に関しては従来より実用的な問題設定であるレート歪み領域に対する結果であり実用面からも意義は大きい.今後は混合情報源に関する解析を行う.2. に関してはコスト制約付きの混合通信路符号化問題に対して結果を得ており,こちらも実用面での意義がある.3. に関しては,コスト付き可変長符号化において,その平均符号長,オーバーフロー確率の両面を評価したものであり,平均符号長においては,一次および二次最適レートを示すことができた.一方オーバーフロー確率においては,固定長符号における誤り確率の関係を示した.これらの結果は今後符号を実際に構成する際に役立つ新たな知見となるであろう.1. と同様混合情報源に関する解析は今後の課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたとおり,一般の混合を対象とした混合通信路符号化問題における二次最適レートを導くことができた.これは非常な成果と言える.また有歪み符号化問題,誤りを許す無歪み符号化問題における最適レート,最適領域の一次,二次一般公式を導くことができた.次年度に繋がる重要な成果と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に一般公式を導くことができた有歪み符号化問題,誤りを許す無歪み符号化問題における最適レート,最適領域について引き続き,研究を深めていく.特に本研究課題の主目的である,混合情報源に対する解析に焦点をあてたい. また,情報理論における重要な問題の一つである仮説検定問題,Resolvability問題への適用も可能であることが分かったので,そちらについても考えて行く予定である..
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に国際会議に参加する予定であったが,計画通りに進まなかった.一方平成28年度は複数の国際会議に参加し研究発表を行うことができ,当初の予定額よりも大きい額を使用することとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度得られた成果と今年度の成果を合わせて国際会議,論文投稿を積極的に行う.実際に一つの国際会議には既に参加予定である.
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