研究課題/領域番号 |
26420373
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
岩村 惠市 東京理科大学, 工学部, 教授 (10434028)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 秘匿計算 / 秘密分散 / 個人情報保護 / 個人制御 / 高速処理 / センサネットワーク / 鍵共有法 |
研究実績の概要 |
①実装による非対称型秘密分散法の有効性実証:秘密分散法を拡張した非対称秘密分散法を用いて昨年度構築した、大容量データをスマホやタブレットで秘匿演算可能であり、情報漏洩がないライフログシステムをイノベーション・ジャパン2015とコンピュータセキュリティシンポジウム2015でデモ展示した。多くの関心を得ることができ、企業との共同研究が始まった。
②非対称型秘密分散法に適した秘匿計算の提案:秘密情報に乱数を乗じて秘匿化秘密情報を分散し、演算時に一旦復元してスカラー量とすることにより多項式の次数変化のない秘匿乗算法を提案した。この手法はスカラー量を用いるため秘匿除算も実現できる。
③EXORを用いた非対称型秘密分散法の新たな応用:EXORを用いた非対称秘密分散法の新たな応用としてセンサネットワークに適用し、鍵共有のための記憶量を必要としない鍵共有方式を提案した。この提案を含む論文は情報処理学会論文誌において条件付採録となっており、現在対応中である。また、国際会議にも投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①実装による非対称型秘密分散法の有効性実証:イノベーション・ジャパン2015及びコンピュータセキュリティシンポジウム2015でのデモ展示は非対称秘密分散法の有効性を正に実証しており、企業との共同研究も開始された。
②非対称型秘密分散法に適した秘匿計算の提案:秘密分散法を対象に基本となる秘匿計算法が提案された。来年度は非対称秘密分散法との融合を実現する。
③EXORを用いた非対称型秘密分散法の新たな応用:センサネットワークにおいてセキュリティの実現は大きな課題の一つである。センサノードは計算資源が乏しいため、Shamirの秘密分散法でなくEXORを用いる秘密分散法が適しており、それに対して解を与えた。また、非対称化により記憶容量の削減を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
①は完成し、成果も得られたと考える。
②個人制御が可能な非対称秘密分散法に適した秘匿計算法を今までの秘匿計算に関する研究を生かして検討する。
③非対称秘密分散法はセンサネットワークに対してもう1段階の最適化が可能であるので、その研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のサーバを購入せずタブレットで構成したための差引き額50万円に加えて、本年度は国内研究会では幅広く発表したが、予定していた国際会議での海外発表については、現在2件投稿中である。また、予定していた論文誌採録は現在条件付採録状態であり、費用発生は来年度となる。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議に採録されれば、3名分の海外出張が発生し、論文誌への採録が決まれば20万円程度(13ページ)の掲載費が発生する。これで繰り越された費用はほぼ使用される。
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