より高速で経済的な光アクセスネットワークの実現を目指して,SDM-PON (Subcarrier Digital Modulation)-PON,OSAN (Optical Switched Access Network)の検討をシミュレーションにより行った. SDM-PONについて,前年度はCW光源のピーク値を16 dBmとして,バイアス送信方式及びクリップ送信方式を用いて,ONU32台の伝送特性を評価し,実現性を明らかにした.なお,クリップ送信方式の3つの受信法のうち方法1のみでの評価にとどまった.今年度は,CW光源電力を有効に利用するために,光変調器への変調信号の振幅を調整して光送信電力が光源ピーク値に近い値(0.5dBのマージン)にした.その結果,3方法のいずれを用いても,20 km同一伝送距離に対して, CW光源ピーク値を10 dBmに設定して,また2~21 kmの異なる伝送距離に対して, CW光源ピーク値を距離に応じて9 dBm~12 dBm程度に設定して,所期の特性を得ることができた.以上により,SDM-PONの実現性を示すことができた. PONやOSANに適用する光バースト受信部の特性の向上をねらいとして,昨年度までにTIAとLA間を高速応答と低速応答の伝達関数で結合し,バースト信号受信直後は高速応答を用い,DC成分が除去でき次第低速応答に切り替える方式を提案し,効果が大きいことを明らかにした.本年度は高速応答と低速応答の伝達関数を実現するスイッチつきLCR回路構成法を明確にした.更に,入力信号のDC成分を高速応答により0に収束したことを検出して,低速応答に自動的に切り替えるとともに,バースト終了時に,高速応答に自動的に切り戻す方式を提案し,回路による実現法を示した.更に,本自動切り替え,切り戻しを実証するとともに,光バースト受信部の性能の向上を示した.
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