研究課題/領域番号 |
26420383
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山口 芳雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50115086)
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研究分担者 |
佐藤 亮一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00293184)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 偏波レーダ / ポーラリメトリ / 散乱電力分解 / 災害監視 / 環境観測 |
研究実績の概要 |
この研究の目的は,地球環境観測で偏波を用いたレーダ観測によって得られる情報を最大限に活用し,だれにも分かりやすいフルカラー画像を生成して,最終的に防災ベースマップを作成することである.そのために,まずJAXAのALOS2研究公募による共同研究者となって観測要求を行い,JAXAからできる限り多くのデータを取得して頂いた.今年度に提供を受けたデータ数は日本を含め全世界で約270シーンである.このデータ提供は共同研究者にのみ無償配布されるが,購入する場合にはALOS2データは1シーンあたり30万円を要する.昨年度に引き続き,4成分散乱モデル分解によって偏波データ(Level 1.1)を解析し,RGBカラー画像化した.散乱メカニズムが直観的にわかるように表面散乱を青,2階反射散乱を赤,体積散乱を緑に割り当て,明るさを調整してだれにも分かりやすくなるよう調整し,研究室のWebに公開した.また,特徴的な成果は,日本のほぼ全域が画像化できたこと,および,2015年9月に発生した常総市の水害で,冠水域の抽出ができたことが挙げられる. 昨年までのALOS-1のデータ(1240シーン)と合わせて,Webには日本,世界の地域ごとに合計1600シーンを超える偏波データ画像集ができた.これだけ膨大な量の偏波データを取得し,公開できたのはJAXAと科研費のサポートのおかげである.世界で最も多くの偏波データ画像が公開され,各方面から分かりやすいとのコメントを頂いている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度から新たな衛星搭載陸域観測レーダALOS2による地球観測が始まった.しかし,その運用の中でも偏波データの取得機会は非常に限られており,あまり多くのデータは取得されていない.実際に取得された領域・データの中から約300シーンのデータをダウンロードし,研究目的の偏波画像再生を行った.そしてWeb公開を行った.基本的な研究目的は達成されたため,研究は概ね順調に推移していると言える.今年度で特徴的な点は,日本のほぼ全域が画像化できたこと,および,2015年9月に発生した常総市の水害で,冠水域の抽出ができたことなどが挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度で一旦JAXAとの共同研究契約の第1期が終了した.そして共同研究の実績ベースによって2016-2017年の継続が決まった.そのため,今後もJAXAによるALOS2のデータ取得プランに合わせて,約100シーンのデータ提供を受け,散乱電力分解による偏波フルカラー画像化とそのWeb公開を続けていきたい.そして,環境変化の抽出に役立てる予定である.
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備考 |
日本の陸域観測衛星ALOSとALOS2によって取得された偏波データに散乱電力分解を施してフルカラー化した画像データを表示している
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