研究課題/領域番号 |
26420385
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中村 一彦 山梨大学, 総合研究部, 助教 (40402086)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超広帯域無線 / UWB / レーダ / RoF / センサネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究課題では,光ファイバ無線によるUWB型センサネットワークの構築を目的とする.信号処理部や信号伝送を光領域で行うことで,電気信号処理と比べてより広帯域・高速信号を適切に処理できるうえ電気的ノイズ耐性が高いシステムの構築が可能となる.また,光符号分割多重(OCDM)や波長分割多重(WDM)を適用することで,多点計測情報を同時伝送できるセンサシステムの実現も期待できる. 平成27年度では,提案システムによる原理確認実験のため実験系の構築とその動作試験を行った.まず前年度問題となった標本化ファイバブラッググレーティング(FBG)の低反射率の対策として,ファイバ上に直列に配置するFBGの個数と反射率の調整を行った.標本化FBGのトータルでの反射率はFBGの個数と各反射率に依存する.ただしFBG製造環境の制約上多数のFBG反射率の精密な調整が困難であったため,個数を減らし各FBGの反射率を上げることを試みた.電磁界解析の結果,反射率を-7.5dBまで向上させることが可能であることを確認した.次に,光/電気(O/E)・電気/光(E/O)変換部と広帯域アンテナで構成されたセンサ端末を構築し動作確認実験を行った.その結果,サンプリングオシロスコープにて20mV程度の受信振幅が得られ,十分に大きい受信信号を取得可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に評価した標本化FBGの反射率が想定よりも低いため,今年度はまずFBGの最適化を行う必要があった.標本化FBGの反射率を-7.5dBまで向上させることで,ある程度の受信レベルを確保できたため,今後の原理確認実験の順調な進捗に寄与できるものと考えている.UWBスペクトルマスクへのマッチングが不十分ではあるが,原理確認実験により,O/E・E/O変換器及び送受信アンテナで構成されたセンサ端末による信号伝送が確認されたことにより,ビット誤り率や測距の距離分解能などのセンサ端末の実験的評価が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
センサ端末の信号生成部の最適化を引き続き行うとともに,測距を行った時の距離分解能やタイミングジッタ,ビット誤り率の評価を行う.目標としてはビット誤り率10^(-3)以下,分解能10mm以下が達成できることを実証したい.また,現在Cバンド帯のDFBレーザを利用しているが,多点計測,小型化,低コスト化のために他の波長やTo-Canタイプなど他のレーザパッケージの利用も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度での使用計画の一部が今年度に割り当てられたため,該当年度で使用予定であった光部品・装置が未購入であったことと当初の計画で予定していた謝金を伴う作業を研究代表者が担当したため
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次年度使用額の使用計画 |
提案システムのベース部分は構築できオシロスコープでの受信信号の観測は可能であるが,UWB信号の受信レベルはまだ低く改善が求められる.そのため他の波長かつ別パッケージのレーザの使用を予定している.また,現在電気信号処理部に利用しているFPGAの動作が不安定(コンピュータへの接続が度々切れる)なためリプレースが必要である.学会への調査及び成果発表の参加費・旅費,論文の校閲・投稿料にも使用する予定である.
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