研究課題/領域番号 |
26420388
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊藤 良生 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70263481)
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研究分担者 |
笹岡 直人 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432607)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 能動騒音制御 / 信号処理 / 適応フィルタ |
研究実績の概要 |
機械などから発生する騒音を抑圧する手法として、騒音の逆位相の音を発生し抑圧するアクティブノイズコントロールが提案されており、ダクト内を伝搬する騒音、プロペラ機で発生する騒音などの対策として実用化されている。一般にフィードフォワード型のアクティブノイズコントロールの制御にFiltered-xアルゴリズムが用いられている。しかしながら、Filtered-xアルゴリズムでは、2次音源スピーカから騒音打消し位置までの2次経路特性の変動により、アクティブノイズコントロールシステムの制御性能だけでなくシステムの安定性に大きな影響を与える。そこで本研究では、安定動作する提案Pre-inverse型アクティブノイズコントロールについて検討を行う。 本年度は、提案手法であるPre-inverse型アクティブノイズコントロールについて回路構成検討並びに実際のダクトモデルを対象とした計算機シミュレーションにより動作確認を行った。計算機シミュレーションによりFiltered-x手法と比較して安定に動作することが確認された。また、Pre-inverse型アクティブノイズコントロールに使用する2次経路推定用の適応アルゴリズムについて検討を行い、想定していたよりも外乱に影響を受けることが判明した。そこで、外乱に耐性のあるPre-inverse型アクティブノイズコントロールの回路構成を提案検討した。これにより従来型のPre-inverse型アクティブノイズコントロールと比較して、騒音抑圧性能が改善された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Pre-inverse型アクティブノイズコントロールについて実際のダクトより収録したインパルス応答を持つダクトモデルを対象に提案システムの動作確認並びに適応アルゴリズム検討が課題であった。ダクトのインパルス応答、周波数特性を測定したのち、提案システムの計算機シミュレーションによる動作確認を行った。シミュレーション結果より、提案システムが安定動作するとともに、従来法であるFiltered-xと比較して騒音抑圧性能が改善していることが確認された。 一方、提案システムにおいて2次経路の推定を行う適応アルゴリズムに関して、高速収束適応アルゴリズムの導入を当初は計画していたが、実際のダクトでは外乱による影響が顕著に現れることが判明した。そこで高速収束適応アルゴリズムの導入ではなく、外乱に耐性のあるPre-inverse型アクティブノイズコントロールシステムの提案検討を行った。これにより従来予定していた適応アルゴリズムを使用するよりも騒音抑圧性能が改善することが確認された。若干の計画変更があったものの本研究の目的であるPre-inverse型適応フィルタによるアクティブノイズコントロールの開発は順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究課題は、本年度までに得られた結果を基にして提案アクティブノイズコントロールシステムをDSPへ搭載することである。 まず、提案アクティブノイズコントロールシステム並びに本年度に提案した外乱に耐性のあるアクティブノイズコントロールシステムをDSPに搭載し、実環境において評価実験を行う。そして各種設定値の検証し、実環境における各種設定の最適値を求めるとともに、設定値と実環境を表すパラメータとの因果関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度以降に実施予定であるDSP実装などのシステム評価に必要なFFTアナライザの購入において当初見積よりも低価格で購入することができた。それに伴い発生した残金によりDSP評価を正確に行うための備品をあらかじめ購入する予定であったが、納入に時間がかかることが判明したため購入を見合わせた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額と平成27年度請求分を使用し、平成27年度実施予定のシステム評価に必要な物品購入を行う予定である。当初、次年度使用額により平成27年度実施予定のシステム評価に必要な物品をあらかじめ購入する予定であったため、研究計画全体に対する影響はない。
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