H28年度は,前年度の研究成果を受けて,作業認識システムを試作して「熟練者」による作業の定量分析を実施した. まず最初に,キーポイントマッチングによる3次元物体認識の精度を高めるため,3次元計測データから得られる点群密度変化に頑健な局所参照座標系について検討した.また,演算コストを低減するために,マルチスケールシェル領域の点群占有率に基づく3次元特徴量を提案し,効果を確認した. 次に,動作認識のための予備実験として,熟練者と非熟練者を模擬した動作を実演してデータ処理を行った結果,熟練者と非熟練者の違いが作業動作のリズムの違いに現れやすいことが判明したことから,本年度のケーススタディとして「リズム抽出」を設定した.簡易な組み立て作業を想定し,熟練者と非熟練者の作業を試作システムによって作業記述フォーマットに置換した.このとき,リズムを作業動作,特に手の動作の周期性と考え,周期の開始点(位相)と周期の2つのパラメータを自動抽出する手法を提案した.組み合わせ最適化問題の枠組みで動作の周期性が高くなるよう位相と周期間隔を逐次自動決定するアイデアを実装し,リズム抽出に成功した.実験としては,5種類のデータセットを用いて位相と周期を推定したところ,位相については最大誤差3フレーム(約0.1秒),周期については最大誤差5フレーム(約0.16秒)で推定できたことを確認した. また,以上の成果を,論文4編,国際会議2件,口頭発表2件として発表した.
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