本研究課題は,注視時に不随意に生じる固視微動の解析に基づいて,注意の集中度合いを定量化して観測するとともに,近赤外分光法(NIRS)と脳波の同時計測から得られた脳活動情報の解析に基づき,注意の統制に関与する情報処理過程の客観的モニタリング手法を構築することで,注意機構における情報処理メカニズムの解明を目的とするものである.本研究において実施した実験の結果,固視微動中のマイクロサッカードを高精度に抽出するための技術,並びにドリフト眼球運動解析に必要な数学モデルが得られ,NIRSによる脳機能計測に適した実験条件や信号処理手法が確立された.これらの成果から,注意の神経機構を解明するための手段を得た.
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