光の絶対パワーを高スループットかつ精密に計測すべく、バイメタルMEMS方式温度センサに基づいた光カロリメータ標準器を開発することを目的とし、本年度はさらなる低ノイズ化を図るための検討を進めた。 前年度に構築した、バイメタルMEMSセンサの熱変形量をpmオーダで検出可能なファイバファブリペロー干渉計について、ノイズフロアが12nW相当程度と、従来型の熱型光検出器(サーモパイル)と同等性能こそ達成したものの、理論予測より2桁程度大きかった原因を詳細に検討した。ノイズスペクトルを解析したところ、1~2Hzの超低周波数においてピークを有することが判明した。このピークはMEMSのセンサ部を検知した場合のみ見られ、MEMSのベース部(センサ部より厚く硬い部分)では検知されなかったので、MEMSセンサ部が環境由来のノイズ(低周波振動ないし低周波音)の影響を受けたものと示唆された。本成果をまとめて論文誌に投稿し、受理された(既に出版済みである)。 その後、超低周波振動の影響を調査すべく、アクティブ防振台を用いてノイズの除去を試みた。これにより、建物から伝導しての振動は除去できたものと考えられるが、MEMSセンサ系のノイズは低減したとはいえなかった。一方、MEMSセンサ系周りの防音対策の有無がノイズに与える影響の方が大きいことがわかった。しかし、1~2Hz程度の超低周波音も含めて防音するのは、現在の技術では大変困難であるため、信号ノイズのキャンセル法として有効な双子型動作をさせるべく、測定系の整備を進めた。
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