研究実績の概要 |
次世代の分散型エネルギー需要・供給ネットワークにおける供給家, 需要家を自身の利得確保を追求するエージェントと捉える. また, 社会としての公共の利得確保を目指す独立した行政機関に対応するユーティリーを想定する. 本申請研究では, ユーティリティーによる価格 (税金/補助金) の提示とエージェントの分散意思決定の相互作用により, エネルギー需要・供給ネットワークの最適な運転状態への誘導を可能とする. 次世代のエネルギー需要・供給ネットワークで大量に導入される小型発電機や蓄電池などの速い動特性を鑑み, とくに, 標準的なデマンドレスポンスやリアルタイムプライシングと言った枠組みでは注目されない, エージェントの動特性を考慮した運転状態の誘導を可能とする. 個々のエージェントが利己的に自身の振る舞いを決定する中で, これらの分散意思決定を束ね, 公共の利得確保を保証するためのユーティリティーによる価格提示方策を提案した. とくに, エネルギーの需要・供給のバランスを規定する等式制約を考慮し, この制約を達成する価格提示方策を提案することができている. 提案する価格提示方策を最適な発電量配分の実現問題, 太陽光発電用インバータの負荷分散問題, 車載蓄電池の充電量決定問題にそれぞれ適用し, 個々の問題の特性を鑑みた価格提示方策の設計、有効性の検証をおこなうことができている。 とくに太陽光発電により生じる電圧変動の抑制問題については, 5MW の発電総容量を有する太陽光発電設備を想定した実機実験を実施することができた. これにより, 提案する分散型の最適運用方策の技術実証までが達成された.
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