研究課題/領域番号 |
26420412
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小林 孝一 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (50452115)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マルチホップ制御ネットワーク / マルチビークルシステム / ブーリアンネットワーク |
研究実績の概要 |
当初の計画に従い,平成26年度はマルチホップ制御ネットワークの制御を中心に研究を進めた.マルチホップ制御ネットワークとは,複数の制御対象と複数の制御器が直接通信せず,中継装置を経由して通信する制御システムである.マルチホップ制御ネットワークの制御問題では,制御入力と通信路の両方を求める必要があり,一般に混合整数計画問題に帰着される.問題を解くための計算時間が長くなる場合があることから,本年度は,数値実験により実用的な計算時間で解けるクラスを考察した.この結果を踏まえて,近似解法についても検討を行った.加えて,マルチホップ制御ネットワークの応用として,マルチビークルシステムの最適制御にも取り組んだ.特に,複数ビークルの協調動作を時相論理により記述し,最適制御問題の拘束条件として組み込んだ.得られた成果により,学術雑誌論文2編が採択されている. また,マルチホップ制御ネットワークはネットワークシステムの一種である.したがって,ネットワークシステムの設計理論を構築することは,マルチホップ制御ネットワークにおいても有用である.ネットワークシステムの数理モデルとして,ブーリアンネットワークを採用し,定常状態における条件を満足するブーリアンネットワークを求める手法を提案した.得られた成果により,学術雑誌論文1編が採択されている. さらに,平成27年度以降の研究の準備として,事象駆動制御および自己駆動制御に取り組んだ.いずれの手法に対しても,従来手法より簡便な手法を提案し,計算例により有効性を示した.得られた成果により,国際会議論文1編が採択されている. 以上から,本研究課題に対する初年度の取り組みとして,十分な成果が得られたと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,マルチホップ制御ネットワークの制御に関する基礎的結果が得られている.また,関連研究として,マルチビークルシステムの最適制御,ネットワークシステムの設計に取り組んだ.さらには平成27年度以降の研究の準備として,事象駆動制御および自己駆動制御にも取り組んだ.以上から,順調に研究が進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
サイバーフィジカルシステムは様々な研究分野の融合領域であることから,幅広い分野の研究会に参加し,広い視点をもって研究を推進していく.例えば,制御工学だけでなく,通信や計算機科学などの研究会への参加を検討していく.また,国際会議(例えば,IEEE Conference on Decision and Control,CPS WEEKなど)にも積極的な参加・発表することを検討していく.最新の研究動向を把握するためには,国際会議への参加は必要不可欠である.さらに,書籍を購入し,関連分野の基礎的内容を把握することにも努めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通りの成果が得られているが,国内で開催された国際会議に参加したため,旅費に次年度使用額が生じた.また,マルチホップ制御ネットワークのモデル予測制御に関する研究を平成27年度に実施することとしたため,物品費に未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
論文の掲載料として使用する予定である.また,マルチホップ制御ネットワークやSelf-triggered制御に関する成果発表を予定しており,国際会議および国内会議の出張旅費として使用する予定である.
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