研究課題/領域番号 |
26420413
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
駒田 諭 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10215387)
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研究分担者 |
白井 達也 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20342503)
矢代 大祐 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60607323)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋骨格 / 腱駆動 / 剛性 / 視覚 / 非線形バネ / ロボットアーム / 制御 |
研究実績の概要 |
以前に開発した柔軟・非線形・高剛性の3モード非線形バネSAT(以下、SAT)はコンパクトながら構造が複雑であったのに対して、新しく開発した機構は少ない部品点数かつシンプルな仕組みであるためメンテナンス性に優れる。平成26年度はSATのモデル化と解析、特性測定実験を行い、動作原理を明らかにした。並行して、2関節筋アームに搭載するための回転関節への適用を試み、SATの原理を応用した新しい関節剛性調整機構を提案、定式化および実機実験を行った。 視覚を含む生体筋骨格アームに関しては、これまでのアーム関節角度と視空間座標系での手先位置との変換の線形近似を、生体筋骨格腱駆動アームの腱空間と視空間との関係に拡張し、それがどのような関係式で表現されるのかを調査した。生体筋骨格は粘弾性を可変にできるため、作業空間での粘弾性楕円体を検討した。その結果、視空間における粘弾性は全ての変数を角度で表現するため、カメラとアーム先端との距離が近くなるほど粘弾性が大きくなることが判った。 一方、腱駆動アームの制御においては、関節空間から腱空間への座標変換が必要である。拮抗する腱の張力の差が関節トルク、和が剛性となるため、腱張力を拮抗する腱の腱張力の和と差に変換する。本変換により腱張力が正という制約を考慮する必要がなくなり、腱張力の和と差の二次乗和を最小化する問題とすることが可能である。リアルタイム制御で実装可能なように疑似逆行列を用いた最適化問題の解法を利用する。さらに、モータトルクの上限にかかりにくくするために、重みを用いた疑似逆行列を利用し、本手法の有効性を腱駆動アームにおいて実験的に確認した。これにより、モータトルクの上下限に最大限収まるような、関節トルクと剛性から腱張力への変換が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の1番目に関しては装置開発が順調に進んでいる。2番目に関しては、有用性にまでは踏み込めていない。3番目に関しては、研究が順調に進展しているが、当初の計画には含まれていなかった事項であり、総合して「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
従来のコンプライアンスリミッター機能付きSATによる関節剛性調整機構に、二関節筋として平成26年度に開発した新しい関節剛性調整機構を組み合わせた3対6筋相当のロボットアームの開発を行う。本ロボットアームの開発が完了し次第、多関節化および三次元化したロボットアームの開発に取り掛かる。並行してヒトの下肢(腰部含む)に装着可能な受動的なパワーアシスト装置への2ワイヤー3モードSATの応用を行う。 研究実績の概要の2番目と3番目はそれぞれ作業空間である視空間から腱空間へのアプローチ、腱空間から作業空間へのアプローチである。3番目に関しては作業空間として視空間への拡張を目指す。このように相互に逆方向から研究を推進することで、本研究の課題に迅速に取り組む。その上で、当初の計画の通り、視覚を含む生体筋骨格型ロボットに対する実験システムの開発を行い、それを用いて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
使途の一部変更により生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
支出の一部として有効に活用する。
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