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2014 年度 実施状況報告書

実用的な制御系の設計と実装に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26420417
研究機関神戸大学

研究代表者

太田 有三  神戸大学, システム情報学研究科, 名誉教授 (80111772)

研究分担者 増淵 泉  神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (90283150)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード拘束系の制御 / サーボプレスの制御 / オーバーシュートの抑制 / 逆動作の抑制 / ロバストa%整定制御 / 有限時間整定
研究実績の概要

平成14年度の研究では,概略,以下の3つの成果を得ることができた.
1)リファレンスガバナを用いた制御のための最大出力許容集合の新しい特徴付けを提案した.これにより,制御対象が積分器を持つ場合に限らず,リファレンスガバナを用いた制御を比較的容易に行えるようになった.さらに,オーバーシュートの抑制や不安定零点を持つ場合の逆動作の抑制なども拘束系の制御と同様な枠組みで行うことが可能となった.
2)上の結果を,サーボプレスの制御に適用し,シミュレーションを通じてであるが,良好な制御結果を得られることを示した.また,サーボプレスの制御に関連して複数のリファレンスガバナを用いる方法を提案し,これによりオンラインでの計算量を削減することができることを示した.
3)不確かさを有しないシステムに対するデッドビート制御に対応する(不確かさを有するシステムに対する)ロバストa%整定制御を提案した.この方法は,一定値入力に対する平衡点が不確かさに依存しない場合は,ROC法の素直な拡張であるが,平衡点が不確かさに依存する場合は,平衡点の存在範囲のできるだけ正確な推定を行う必要がある.これに関しては,一定の結果を得ているが,今後更に研究を進める必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,(A) 整定時間やオーバーシュートなどを直接的な仕様として良好な目標値追従特性を実現できる特性の高次系への拡張,(B) 上の(A)に基づいて設計する制御器とロバスト安定性や外乱抑制を目的として設計する制御器の両方の長所を活かす制御系の構造と制御器の設計方法の検討,(C) リファレンスガバナを用いた拘束系の制御,という3課題に関する研究を遂行することを目標にしていた.
線形系の枠内では(A)の方法による制御器を用いた制御器が非常に良好な制御性能を発揮していたが,課題(B)の研究に関連して,制御入力に対する制約を持つシステムに対しては,オーバーシュートの抑制を加えると,少し制御器を修正する方が良好な制御性能を発揮することが判明した.このため,これらの制約を考慮する場合の制御器の設計方法を考え直す必要が出てきた.このため,課題(A),(B)に関して当初の方針を変更しロバストa%整定時間制御法を中心に研究した.この結果,課題(A),(B)は少し遅れている面もあるが,おおむね順調に進展していると言える.
課題(C)については,サーボプレスの制御について検討した.シミュレーションを通じてであるが,良好な制御結果を得られることを示した.また,サーボプレスの制御に関連して複数のリファレンスガバナを用いる方法を提案しこれによりオンラインでの計算量を削減することができることを示した.したがって,課題(C)は順調に進展しているとといえる.

今後の研究の推進方策

今後は,次の3つの課題を中心に研究を進める計画である.
(A) リファレンスガバナを用いる制御のオンライン計算量の低減.オンライン計算量は最大出力許容集合のファセット数に比例するが,対象システムの次元が大きくなると最大出力許容集合のファセット数が膨大になる.この結果サンプル周期内に必要な計算を完了することが困難となる.これに対して,次の2つの観点から検討する.(A-1)モデルフォロイング制御系としての実装,(A-2)最大出力許容集合の近似.(A-1)は制御入力を低次元モデルを用いて発生させることを意図しているが,過渡的な応答は期待したほど良くないことが多い.この原因と対応策を検討する. 一方,(A-2)は最大出力許容集合の一部の情報だけを用いて制御を行うことを検討するものである.種々のシステムにリファレンスガバナを用いる制御を適用した結果を解析すると,必ずしも厳密な最大出力許容集合の情報を用いなくてもよいということが判明しており,これに対する理論的な保証を与えることを試みる.
(B) 「最適な」拘束系の制御に関する理論的検討.平成26年度の研究結果から,線形系の枠内で最適な制御系が拘束系に対しては必ずしも最適にならないことがわかっている.拘束を考慮した場合にどのようにすれば最適化問題として定式化できるかという点に戻って研究を行う.
(C) 拘束系の制御の応用.平成26年度はサーボアンプへの応用を検討したが,これをさらに現実的な状況下で検討すると共に,他のシステム,例えば,エレベータの制御,ガルバノミラーの制御などへ応用を検討する.

次年度使用額が生じた理由

増淵の購入予定であったPCがよりスペックが高いものを購入することが妥当と判断され今年度予算では不足であるので,次年度分の経費と合わせて購入する方針に変更したため.

次年度使用額の使用計画

増淵がPCを32万円で購入し,太田が国際会議(IECON2015, Nolta2015, CDC2015)と国内会議の旅費と参加費で53万円程度を使用する予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 整定時間を指定するサーボ系設計2014

    • 著者名/発表者名
      太田有三,瀧山武,増淵泉
    • 雑誌名

      システム制御情報学会論文誌

      巻: 27 ページ: 1,7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 離散時間ゲインスケジュールド制御系設計のための新たなパラメータ依存LMI2014

    • 著者名/発表者名
      増淵泉,松阪亮,太田有三
    • 雑誌名

      離散時間ゲインスケジュールド制御系設計のための新たなパラメータ依存LMI

      巻: 27 ページ: 36,41

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 拘束システムに対するリファレンスガバナの実2014

    • 著者名/発表者名
      郭 昊,太田 有三,増淵 泉
    • 雑誌名

      離散時間ゲインスケジュールド制御系設計のための新たなパラメータ依存LMI

      巻: 27 ページ: 187,192

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 不確かさを有する非線形離散時間システムのa%整定時間制御について2015

    • 著者名/発表者名
      太田有三
    • 学会等名
      電子情報通信学会 非線形問題研究会
    • 発表場所
      兵庫県県民会館(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-03-03 – 2015-03-04
  • [学会発表] リファレンスガバナを用いたサーボプレスの制御2014

    • 著者名/発表者名
      渋谷芳樹
    • 学会等名
      第57回自動制御連合講演会
    • 発表場所
      ホテル天坊(群馬県渋川市)
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [学会発表] ロバストa%整定時間制御について2014

    • 著者名/発表者名
      太田有三
    • 学会等名
      電子情報通信学会 非線形問題研究会
    • 発表場所
      燕三条地場産業振興センター (新潟県三条市)
    • 年月日
      2014-11-06 – 2014-11-07
  • [学会発表] On the Implementation of Reference Governor2014

    • 著者名/発表者名
      Yuzo Ohta
    • 学会等名
      IECON 2014
    • 発表場所
      Sheraton Hotel Dallas(Dallas, TX, USA)
    • 年月日
      2014-10-29 – 2014-11-01
  • [学会発表] Distributed Multi-Agent Optimization via Consensus of Groups of Agents that Share Decision Variables2014

    • 著者名/発表者名
      Izumi Masubuchi
    • 学会等名
      SICE2014
    • 発表場所
      Hokkaido Univ.(Sapporo, Japan)
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-12
  • [学会発表] Distributed Multi-Agent Optimization with Local Constraints Via a Subgradient Method with Delayed Information of Feasibility2014

    • 著者名/発表者名
      Izumi Masubuchi
    • 学会等名
      MTNS2014
    • 発表場所
      University of Groningen(Groningen, The Netherlands)
    • 年月日
      2014-07-07 – 2014-07-11
  • [図書] 現代制御2014

    • 著者名/発表者名
      太田有三,深尾隆則,増淵泉,藤崎泰正
    • 総ページ数
      220(1-9, 21-55)
    • 出版者
      オーム社

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公開日: 2016-05-27  

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