研究課題/領域番号 |
26420420
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
若佐 裕治 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (60263620)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エネルギーマネジメント / 最適化 / 制御工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、再生可能エネルギーによる電力供給の不安定性を家庭用エネルギー管理システムで補償するための最適化技術と制御技術の開発を行う。とくに、稼働するまでに時間的猶予がある電気製品に注目し、その時間的自由度を有効活用する最適制御法を検討する。
本年度は、まず電気製品の稼働スケジューリング問題における自由度の拡張を検討した。対象とする電気製品の中でも電気自動車に着目し、車載蓄電池の充電だけでなく放電をスケジューリング問題に組み込む定式化を行った。また、スケジューリング問題の解法としては、これまでに引き続き、各家庭の情報を計算センターに集約するのではなく、各家庭がもつ分散的な計算環境を有効に利用した分散型最適化アルゴリズムを検討し、平均合意アルゴリズムと粒子群最適化を組み合わせた分散型大域的最適化手法の開発を行った。この成果を平成28年度(第67回)電気・情報関連学会中国支部連合大会で発表した。本発表により、発表者(本研究の代表者の指導学生)は電気学会中国支部奨励賞、および電子情報通信学会中国支部連合大会奨励賞を同時受賞し、高い評価を得た。さらに、家庭用エネルギー管理システムにおける太陽光発電との連携を考慮して、太陽光発電システムから最大の発電出力を得るための技術である最大電力点追従制御に対して、先行研究の効率を上回る制御手法の開発を検討した。その他、制御方法に関連して、多層ニューラルネットワークに基づく非線形補償と制御器調整の手法の開発を行い、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、本研究は3年間で実施される予定であり、本年度が最終年度であった。並行して実施した複数の研究項目の大部分は、概ね当初の計画通りに進み、成果を論文誌等で発表した。しかしながら、一部の研究項目、とくにシミュレーション環境の構築において遅れが生じ、その結果、成果をまとめ、発表するに至らず、研究期間を1年延長することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに開発した電気製品の稼働スケジューリング法を拡張するため、太陽光発電との連携を検討するとともに、非凸最適化問題を扱える分散型最適化手法の開発をさらに推進する。また、家庭用エネルギー管理システムの有効性を検証できるシミュレーション環境、およびMATLAB連携ソフトウェアの開発を検討する。さらに、これまでの研究成果を総括し、国内外の学術会議、論文誌等で成果発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部ソフトウェアの購入を保留したことや、当初計画していた海外での研究発表を見送ったことなどにより未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議発表、雑誌論文発表などの成果発表を行うために使用する予定である。また、計算機やシミュレーション用ソフトウェアの購入も適宜行う予定である。
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