研究課題/領域番号 |
26420425
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
忻 欣 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (70293040)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 電力システム / 非線形システム / 安定性 / 同期現象 / 動揺方程式 / 制御系設計解析 |
研究実績の概要 |
より大規模・複雑・高不確実になりつつある電力システムを、いかに安定性を確保しながら、高効率に運用するかは非常に重要な課題である。本研究は、複数の発電機からなる電力システムを対象とし、その実用上最も重要な課題の1つである過渡安定性について、その過渡安定性の新しい解析法を確立するとともに、電力システム安定化装置に関する設計法を確立することを目的とする。今年度以下の研究成果を挙げた。 1.発電機群の同期条件を研究するため、発電機群の非均一蔵本モデルを用いてその同期するための新たな必要条件を与えている。これは従来の研究と異なり、発電機間の相互作用が最大となる位相差を解析的に定めることで導出した。また、発電機が3台と4台の場合に対して、数値シミュレーションを行い、提案した必要条件の有効性を示している。 2.電力システムの過渡安定度の解析方法として、数値的にシステム軌跡を積分せずに安定平衡点の吸引領域を推定するため、二乗和計画を用いたリアプノフ関数の構築法が提案されている。しかし、そのリアプノフ関数を導出する際のパラメータの決定方法に関して与えられていない。そのため、同時摂動最適化法を用いたそのパラメータの決定方法を提案した。そして、複数の電力システムを用いてその提案法の有効性を示している。 3.発電機群の動揺方程式と共通の構造体に設置されたメトロノーム群の運動方程式に共通点があるため、その同期現象を解析した。台車と水平吊り台にそれぞれ設置されたn台のメトロノームを対象とし、共通の構造体の動きに着目し、記述関数を用いてそのメトロノーム群の同期現象を新たに解析し、メトロノーム群の各種同期モードの振動周波数、振幅、位相差を解析的に与えるとともに、数値シミュレーションおよび実験検証により解析結果の妥当性を検証し、その精度が高いことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電力システムの安定性に関する著名なBullo教授(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)は昨年制御工学権威のある国際会議IEEECDCのプログラム委員長などで、多忙であったため、計画していた共同研究が延期になった。
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今後の研究の推進方策 |
フランスで開催される制御工学分野で権威のある国際会議IFAC World Congress 2017(国際自動制御連合大会2017)にて論文を発表し、追加解析を実施し、研究成果を国際学術雑誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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次年度使用額の使用計画 |
フランスで開催される国際自動制御連合大会2017(IFAC World Congress 2017)に参加し、論文を発表する予定である。
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