研究課題/領域番号 |
26420427
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
島田 明 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (50554218)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 平衡状態制御 / 拘束条件 / 非線形最適化 / クライミング |
研究実績の概要 |
平成27年度も「クライミングロボット及び支援システム」を開発するための研究を継続実施してきた。ロボットが壁を登るためには、壁形状の観測・認識に基づく軌道計画が必要であり、次いで、力学的な平衡条件、ロボットの可動領域や自由度、最大把持力等を考慮に入れた運動制御が必要となる。 交付申請書では、第一にアルゴリズム開発が必要であり、第二も実験装置開発と評価実験が必要であると述べている。平成27年度は、基本的なアルゴリズム開発に注力した年である。主な成果としては、ロボットが墜落をせずに姿勢を維持するために、3次元空間内の力とモーメントお平衡条件を満たしながら、手足の把持力を最小化する姿勢を生成する方法を非線形最適化アルゴリズムを利用して導出する方法を見出したことである。その導出においては、先に記したように、ロボットの可動領域や自由度、最大把持力等を拘束条件として含んでいる。また、実際のクライミングは四肢を用いて姿勢を安定化する状態と、三肢を固定したまま一肢を移動させる状態を交互に繰り返すことが多い。拘束条件を維持しながら、その間の状態遷移がどのように行われるかを併せて示した。平成27年度はこの平衡状態制御法の基礎的な成果について、国内外成果発表を行った。 このアルゴリズムは、クライミングロボットシステムを構築する上では欠くことのできない根幹的な意味を有するが、決して全体ではなく、実システム構築のためには、さらに汎用性を増すと共に、周囲の技術を突き詰めていかねばならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本的なアルゴリズムの構築は進んでいるものの、進むにつれて、さらに課題が見えてきている。一方、アルゴリズム開発に限られた時間とエネルギーが割かれた故に、実機開発面では、プロトタイプロボットの確保、センサの検討や購入などは済んでいるものの、大きな進捗に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1)昨年度までの断片的な成果を継承しつつ、実践的なクライミング技術、ロボットと人との運動学、同力学上の差異に関する分析結果を融合させ、制御理論及び非線形最適化理論を利用したロボットクライミング工学を築く。 2) 視覚センサ、力覚センサを利用した実クライミングロボットの基礎的な制御技術の設計と実装を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、実機開発を進めるよりも、基礎的なアルゴリズム開発に時間を要したため、機器等の購入も少なくなった。次期は実機開発を進めるため、購入も増えると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
6月~9月:汎用コントローラ、マイコン、センサ類を購入し、実機システムの開発を進める。 10月~1月:実機システム立ち上げと軌道計画、平衡状態制御の実験検証を行う。 2月~3月:まとめ、論文作成等を行う。
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