研究課題/領域番号 |
26420428
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
大塚 尚久 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30185318)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 切り替えシステム / 不確かなシステム / 非線形システム / 静的出力フィードバック / 動的観測出力フィードバック / ロバスト不変部分空間 / 外乱除去問題 / 出力トラッキング問題 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実施計画で述べられた内容に沿って,以下の[1]-[3]に実績の概要をまとめる. [1] 不確かなパラメータを有する線形切り替えシステムに対して,ロバスト不変部分空間の概念が調べられ,状態フィードバックまたは静的出力フィードバックを用いた切り替えシステムのロバスト外乱除去問題の定式化とその可解条件が与えられた.得られた成果は,学術雑誌IMA J. of Mathematical Control and Information (Advance Access)とFar East J. of Dynamical Systemsに掲載された.また,動的観測出力フィードバックを用いた切り替えシステムの外乱除去問題が定式化され,その可解条件が与えられた.さらに,安定性と外乱除去の併合問題についても可解条件が与えられた.得られた成果は,学術雑誌Systems & Control Lettersに掲載された. [2] Positive線形システムに対する不変部分集合を,不変部分空間と状態空間の非負象限との共通集合と考え,いくつかの基礎的な性質が得られた.今後さらに詳細に調べ,制御問題への応用を考えている. [3] ある種の非線形システムに対して,出力トラッキング問題を実現する制御則の設計について研究された.得られた成果は,学術雑誌Mathematical Problems in EngineeringとInt. J. of Control and Automationに掲載された.また,国際会議Int. Conf. on Control and Automationにて,成果の一部が発表された.これらの成果を踏まえて,今後非線形切り替えシステムへの応用を考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的」は,以下の2つであり,おおむね実施計画に沿って研究が行われた.成果の一部は,国際会議にて発表され,学術雑誌にも掲載された.その他の成果についても,国際会議にて発表を予定している.以上のことから,平成27年度の達成度は,おおむね順調であると判断した. (1)切り替えシステムを構成するサブシステムに不確かなパラメータを含む場合について,そのパラメータ変動に対して,その切り替えシステムがロバスト安定であるための条件を調べる. (2)(1)の研究に加え,サブシステムのクラスに対する不変部分空間の概念(ロバスト不変部分空間)について考察し,それを切り替えシステムの外乱除去問題などの制御問題へ応用する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は,これまで通りの計画で推進していく予定であるが,研究協力者のK.Alimhan博士が訪問教授として海外で研究活動を行っており,研究の場が離れていることから,電子メール等または双方の訪問の機会を作って,研究を進めていく.さらに,研究協力者であるG. Conte教授とA. M. Perdon教授とは,電子メール等および国際会議参加等での議論を通して,研究を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の本務の仕事が忙しく,海外出張による共同研究者との打ち合わせが少なかったことと,研究協力者のK. Alimhan博士が訪問教授として海外の大学へ移動し,職務多忙であったことで,使用計画の旅費の支出が少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の使用計画は,国際会議への参加およびK. Alimhan博士を含めた研究協力者の招聘のための旅費を予定している.さらに,論文投稿も予定している.
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