【平成29年度に実施した研究の成果について】 (切り替えシステムの安定性)連続時間および離散時間線形切り替えシステムにおいて,任意切り替えによる恒等切り替えオブザーバと最小次元切り替えオブザーバの設計と安定化について,理論的な成果と数値シミュレーションによる結果の検証が行われた. (不確かな非線形システムの安定性)幾つかの緩い条件の下で,不確かな非線形システムに対するプラクテイカル出力トラッキングの可能性について考察し,その目的を達成させる出力補償器の構造アルゴリズムが与えられた.また,より一般的な不確な高次非線形システムに対する状態フィードバックによるグローバルなプラクテイカル出力トラッキング問題が研究され,新しいトラッキング制御設計法が提案された.さらに,不確かな非線形時間遅延システムに対する状態フィードバックによってプラクテイカル出力トラッキング問題についても有益な結果が得られた. 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果について】 研究目的は大きく①切り替えシステムのロバスト安定性と②不確かさを含む切り替えシステムの外乱除去問題の2つであった.①については,定数入力をもつ切り替えシステムの安定性と経由問題が定式化され,理論的な結果と数値例による結果の検証を行った.また,切り替えオブザーバの設計問題について考察し,結果の検証を行った.さらに,非線形切り替えシステムの研究の前段階として,不確かな非線形システムの安定性とトラッキング問題について研究が行われ,その成果が得られた.②については,ロバスト不変部分空間の概念とその性質が調べられ,様々なフィードバックによる外乱除去問題の定式化と可解条件が得られた.以上,得られた成果は,国内外の研究協力者と連携し,学術雑誌9編,国際会議論文5編が公表された.さらに,国際学術雑誌に,得られた成果が引用されたことを考えると,その意義は大きい.
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