(1)(HEMS技術) 昨年度までの研究によりWavelet変換を用いた瞬時値波形を利用した家電判別システムにより多くの家電の判別が可能となった。特に、インバータを利用した電子レンジやエアコンなど比較的動作が単調な家電に対して有効である。しかし、洗濯機や食器洗い機などのシーケンス動作を持つ家電については、瞬時値波形だけでは判別、状態推定が困難である。そこで、電流の実効値を用いてそれらのシーケンスを解析する技術を開発した。この第1ステップとして動作モードの判別アルゴリズムを開発した。 (2)(BEMS技術) 昨年までのビルの壁や窓の熱貫流率推定手法開発により、ビル躯体や窓の省エネ性能を簡易に推定することができるようになった。これに加え、今年度はビル内壁の熱の吸放熱、太陽日射などの熱負荷を加えて、ビルの動的なシミュレータを開発した。空調機器の動作を加味することにより、概ね実際のビルの空調動特性を再現することができた。これにより、ビルのデマンドレスポンス特性を詳細に検討することができる。また、ビル躯体に期待することのできる蓄熱性能も評価できる。 (3)(電力系統の制御) 昨年度までの研究を通して、可変速揚水発電の動的シミュレータを開発し、それを用いて電力の高速制御の可能性を提案した。今年度は、可変速揚水発電の中で、巻き線型誘導発電機部分について、巻線型誘導機を用いてシミュレータの検証を行った。巻き線型誘導機であるので、理論通りの特性が出ていることを確認した。これにより昨年度提案した高速電力制御の確からしさを示すことができた。
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