研究課題/領域番号 |
26420436
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
梅原 秀哲 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70151933)
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研究分担者 |
吉田 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40548575)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンクリート / 乾燥収縮ひずみ / 粗骨材 / ヤング係数 |
研究実績の概要 |
フレッシュコンクリートから硬化コンクリートに至る乾燥過程で粗骨材がコンクリートの収縮に与える要因として、粗骨材とセメントペースト間の水分移動による粗骨材の体積変化および粗骨材のヤング係数だけでなく、粗骨材とモルタル間の付着力の影響を大きく受けることが昨年度の研究で明らかとなった。そこで、今年度はこれら3つの要因を吸水シリーズ、ヤング係数シリーズおよび付着シリーズに分けて実験と考察を行った。 粗骨材として、岩種および産地の異なる輝緑岩、岡崎産砂岩、勢濃産砂岩、石灰岩を選定し、さらに吸水シリーズおよび付着シリーズの比較用として水分逸散を抑制するとともに表面の付着を小さくするために、それぞれの粗骨材の表面をゴムコーティングしたものを使用した。次に粗骨材自身のヤング係数および粗骨材とモルタル間の付着力の影響を調べるために、4種類の岩石だけでなく吸水性のない粗骨材として鉄球、錆びた鉄球、ビー玉および発泡スチロールを使用した。これらの粗骨材を空気中に静置またはコンクリート内部に埋め込み、粗骨材自身およびコンクリートの乾燥収縮ひずみを6ヶ月間測定した。 ①吸水シリーズでは、コンクリートの乾燥収縮は水分移動による粗骨材の体積変化の影響を受け、水分移動の少ない石灰岩が最も小さく、水分移動の多い砂岩が大きいことが明らかになった。 ②ヤング係数シリーズでは、コンクリートの乾燥収縮は粗骨材のヤング係数が大きいほど小さくなることが明らかになった。 ③付着シリーズでは、コンクリートの乾燥収縮は粗骨材のヤング係数が同じでも、粗骨材とモルタル間の付着力が小さいほど大きくなることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究で、コンクリートの乾燥収縮は、粗骨材とモルタル間の付着力の影響を大きく受けるという新たな知見が得られた。そこで、今年度は岩種および産地の異なる4種類の粗骨材だけでなく、それぞれの粗骨材の表面をゴムコーティングしたものや吸水性のない粗骨材として鉄球、錆びた鉄球、ビー玉および発泡スチロールを選定し、これらの粗骨材を空気中に静置またはコンクリート内部に埋め込み、粗骨材自身およびコンクリートの乾燥収縮ひずみを6ヶ月間測定した。その結果、コンクリートの乾燥収縮は、水分移動による粗骨材の体積変化や粗骨材自身のヤング係数および、粗骨材とモルタル間の付着力が互いに影響を及ぼし合っているという結果が確認された。
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今後の研究の推進方策 |
コンクリートの乾燥収縮は、水分移動による粗骨材の体積変化の影響や粗骨材自身のヤング係数の影響だけでなく、粗骨材とモルタル間の付着力の影響を大きく受けることが明らかになったが、これら3つの要因のいずれの影響が最も大きいかを調べる必要がある。そこで、今年度と同じ岩種および産地の異なる4種類の粗骨材だけでなく、比較用としてヤング係数や表面粗度の異なる粗骨材を用いてコンクリートの乾燥収縮ひずみ等を測定する実験を行い、3つの要因のコンクリートの乾燥収縮に与える影響の度合いを検討する。
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