フレッシュコンクリートから硬化コンクリートに至る乾燥過程で粗骨材がコンクリートの収縮に与える要因として、粗骨材とモルタル間の水分移動による粗骨材の体積変化だけでなく、粗骨材とモルタル間の付着力の影響を大きく受けることが昨年度の研究で明らかとなった。そこで、今年度はこれら2つの要因を吸水シリーズと付着シリーズに分けて考察を行った。 粗骨材として、岩種および産地の異なる輝緑岩、岡崎産砂岩、勢濃産砂岩、石灰岩を選定し、さらに吸水シリーズおよび付着シリーズの比較用として水分逸散を抑制するとともに表面の付着を小さくするために、それぞれの粗骨材の表面をウレタン樹脂でコーティングしたものを使用した。次に粗骨材とモルタル間の付着力の影響を調べるために、4種類の岩石だけでなく吸水性のない粗骨材として鉄球、錆びた鉄球、ビー玉および発泡スチロールを使用した。これらの粗骨材を空気中に静置またはコンクリート内部に埋め込み、粗骨材自身およびコンクリートの乾燥収縮ひずみを6ヶ月間測定した。 その結果、コンクリートの乾燥収縮は、粗骨材をウレタン樹脂でコーティングすることによって小さくなり、水分移動による粗骨材の体積変化の影響を受けること、さらに岩種別では、粗骨材自体の水分移動の少ない石灰岩が最も小さく、水分移動の多い砂岩が最も大きいことが明らかになった。 粗骨材とモルタル間の付着力は圧縮強度試験のような大きな応力が作用する場合は圧縮強度に大きく影響するが、乾燥収縮のような小さな応力が作用する場合は乾燥収縮ひずみにほとんど影響しないことが明らかになった。
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