コンクリートに用いる石灰石骨材は,石灰石鉱山において採掘・破砕・分級の工程を経て製造されており,使用用途に応じて所定の粒径に調整されストックヤードまたはサイロに貯蔵されている.コンクリート用石灰石骨材として,分級の段階で粒径別に製造される製品の一つである1505(5mm~15mm)は粒径が小さく,平坦性が要求される透水性コンクリート舗装に適していると考えられる.また,コンクリート舗装は温度変化に伴う膨張・収縮の体積変化が生じるため,必然的に目地を設ける必要があり,これが走行性を低下させる懸念もある.石灰石骨材を用いたコンクリートは他の骨材によるコンクリートと比べ,線膨張係数が小さいことから目地間隔を広くできる可能性がある.また,コンクリート舗装の使用骨材にすべて石灰石骨材を用いることで,供用~解体後,再度全量がセメント原料として使用可能となり,繰り返しリサイクル可能となる完全リサイクルコンクリートが製造できる可能性も考えられる.循環型社会,ライフサイクルコストの観点からも,このようなリサイカブル舗装コンクリートを開発・実用化していくことの意義は大きいものと考えられる. 近年,川砂利や陸・山砂利の枯渇化,海砂採取の禁止・規制の強化により,良質なコンクリート用細骨材の減少により安定した粒度分布の確保が困難となり,全体的な品質の低下が問題とされている.そのため,良質な天然骨材に代わる細骨材の確保が今後必要となり,この対策として,石炭火力発電の副産物であるフライアッシュを細骨材の一部として用いることが提案されている. これらを踏まえ,本研究では,石灰石骨材を用いたフライアッシュ透水性コンクリートの舗装の開発を目的とした.特に本研究では,フライアッシュおよび石灰石骨材を用いた透水性コンクリート舗装の曲げ疲労耐性と耐凍害性といった耐久性を調べるため,曲げ疲労試験・凍結融解試験を実施した.
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