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2014 年度 実施状況報告書

硬化遅延を施した高炉水砕スラグの低置換率SCP工法への適用

研究課題

研究課題/領域番号 26420438
研究機関山口大学

研究代表者

松田 博  山口大学, 理工学研究科, 教授 (50136131)

研究分担者 原 弘行  山口大学, 理工学研究科, 助教 (00588709)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード高炉水砕スラグ / SCP工法 / 強度 / 水和 / 海砂 / 潜在水硬性
研究実績の概要

軟弱な粘性土地盤の改良工法として経済的観点から低置換率のSCP工法が注目されている.一方,高炉水砕スラグは粒度組成が自然砂に類似しており,かつ大量に供給できるため環境保護の観点から同工法における杭材の代替材として活用できる.ただ,高炉水酔スラグは水と反応して著しく硬化する性質(潜在水硬性)を有するため,低置換率SCP工法の杭材として利用した場合,過度な支持力発現や透水性低下が生じる.当工法は, 杭材のドレーン効果によって杭間粘性土の強度増加も期待するため,高炉水砕スラグ単体では当工法への適用が難しいのが現状である.
本研究は,低置換率SCP工法において高炉水砕スラグの支持力発現・透水性低下を遅延させることによって杭間粘土からの排水を可能にして圧密による強度増加をはかり,杭間粘土とスラグ杭による強固な複合地盤を形成するための工法の開発について検討を行うものである.
本研究においては,高炉水砕スラグに他の地盤材料を混合することによって硬化を遅延させ,低置換率SCP工法への適用を可能にするために,まず高炉水砕スラグの透水特性,潜在水硬性に伴う強度特性等をもとに,硬化遅延に関わる要因を抽出するとともに,最適な混合材料を見出した.実験では,高炉水砕スラグと混合する材料の割合を種々変化させて,円筒型カラムに詰めて所定の期間養生後,一軸圧縮試験等を実施した.その結果,以下のことが明らかとなった.
1)高炉水砕スラグに海砂を混合すると強度増進が抑制される.また,混合率にかかわらず強度が増加し始める養生時間はほぼ同時期である.2)一軸圧縮試験の結果から,海砂を混合した高炉水砕スラグの強度増加に関わる実験式を示した.3)海砂を混合すると海砂混合率の増加とともに水和反応率が減少し,水和反応が生じやすい環境への移行期間が長くなる.4)同じ水和反応率でも海砂混合率が高い場合ほど一軸圧縮強度は大きくなる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高炉水砕スラグに他の地盤材料を混合することによって硬化を遅延させ,低置換率SCP工法へ適用を可能にするために,まず高炉水砕スラグの透水特性,潜在水硬性に伴う強度特性等をもとに,硬化遅延に関わる要因を抽出するとともに,最適な混合材料を見出した.そして,高炉水砕スラグと混合する材料の割合を種々変化させて,混合材料を円筒型カラムに詰めて所定の期間養生した供試体に対して,一軸圧縮試験等を実施した.その結果,以下の結論を得ている.
1)水砕スラグに海砂を混合すると強度増進が抑制される。また,混合率にかかわらず強度が増加し始める養生時間は,ほぼ同時期である.2)一軸圧縮試験の結果から,海砂を混合した高炉水砕スラグの強度増加に関わる実験式を示した.3)海砂を混合すると海砂混合率の増加とともに水和反応率が減少し,水和反応が生じやすい環境への移行期間が長くなる.4)同じ水和反応率でも海砂混合率が高い場合ほど一軸圧縮強度は大きくなる.
これらの研究成果については,下記にて報告予定である.
○「高炉水砕スラグの強度発現に及ぼす海砂混合の影響」土木学会中国支部研究発表会,2015年5月,○「海砂を混合した高炉水砕スラグの強度特性」地盤工学研究発表会,2015年9月,○「海砂混合による高炉水砕スラグの強度発現および水和反応の進行抑制効果」土木学会研究発表会,2015年9月.

今後の研究の推進方策

低置換率SCP工法での杭材として高炉水砕スラグを適用した場合の硬化遅延には,高炉水砕スラグと混合する材料の粒度組成,混合率,粒子破砕(載荷圧)の程度などの外的・内的要因が影響する.これらの要因を含めて,硬化の進行とともに発揮される推定式を見出し,実験値と予測値から硬化予測式を導出する.そして,実験値と予測値から,その妥当性を検証する.
低置換率SCP工法において適切と考えられる混合材料・混合率等を選定し,実際の施工現場を模擬した模型土槽実験の実施を計画する.実験装置は地盤の挙動を2次元的に観測できるようにして,地盤の沈下,杭材として高炉水砕スラグと他の地盤材料との混合材を用いた低置換率SCP杭の支持力分担特性,間際水圧の消散過程等を計測し,地盤の挙動を2次元的に把握できるよう試みる.

次年度使用額が生じた理由

本研究計画では,初年度において高炉水砕スラグの硬化進行抑制効果を要素試験によって評価し,次年度中に模型土槽実験を開始することとし,その準備として初年度中に模型土槽用資材を購入するよう計画していた.しかし,高炉水砕スラグ納入企業との間で知財管理上の協議が必要となり(契約係とも協議済)当初計画よりも幾らか要素試験の実施が遅れた.当初計画では,次年度実施する模型土槽実験の準備として資材購入を初年度に行うとしていたが,次年度の購入でも当初の計画通り実験遂行できること,要素試験の結果等も踏まえて模型土槽実験手法を確定できることから資材の購入を次年度に行うことにした.また,札幌他で開催される研究発表会での発表と情報収集等が必要となり,結果として次年度使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

実際の施工現場を模擬した土層模型実験の実施を計画する.装置は地盤の挙動を2次元的に観測できるようにして,地盤の沈下,杭材として高炉水砕スラグと他の地盤材料の混合材を用いた低置換率SCP杭の支持力分担特性,間隙水圧の消散過程等を計測し,地盤の挙動を2次元的に把握できるよう試みる.
また札幌他で開催される研究発表会での発表と情報収集等を行う.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 海砂混合による高炉水砕スラグの強度発現および水和反応の進行抑制効果2015

    • 著者名/発表者名
      中村奨哉,松田博,原弘行,石井祐充
    • 学会等名
      土木学会研究発表会
    • 発表場所
      岡山大学津島キャンパス
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18
  • [学会発表] 海砂を混合した高炉水砕スラグの強度特性2015

    • 著者名/発表者名
      中村奨哉,松田博,原弘行,石井祐充
    • 学会等名
      地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      北海道科学大学
    • 年月日
      2015-09-01 – 2015-09-03
  • [学会発表] 高炉水砕スラグの強度発現に及ぼす海砂混合の影響2015

    • 著者名/発表者名
      中村奨哉,松田博,原弘行,石井祐充
    • 学会等名
      土木学会中国支部研究発表会
    • 発表場所
      山口大学工学部
    • 年月日
      2015-05-23 – 2015-05-23

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公開日: 2016-05-27  

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