研究課題/領域番号 |
26420440
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
上野 敦 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50232765)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 歩道舗装ブロック / 温度特性 / 表面形状 / 再帰反射率 / 裏面形状 / 裏面表面積 / 放熱特性 |
研究実績の概要 |
本研究では、歩道舗装ブロックを対象に、夏季の温度低減の観点での基礎検討を行っている。平成27年度は、歩道舗装ブロック表面の形状による入力光の反射特性の制御に関する検討を行った。また、平成28年度の検討への事前検討として、ブロック裏面の形状による砂層への放熱特性についても基礎検討を実施した。 表面の反射特性に関する実験では、通常の表面形状である平坦な歩道舗装ブロックを基準に、球状の凹部を配置し、ブロック表面の平面の面積の割合を変化させた供試体を作製した。ブロックの材質は、通常の密実なセメントコンクリートおよび透水性を有する疎な構造のポーラスコンクリートの2種類とした。作製したブロックについて、分光光度計による反射角ごとの近赤外線の反射律を測定し、再帰反射率として数値化した。この結果、ブロック表面の平坦部の面積率(平面率と定義)が減少すると、再帰反射率が直線的に増加することが示された。また、密なものと比較して小さな凹部を有する疎な構造の場合、平面率と再帰反射率の関係が異なることも示された。 裏面からの放熱に関する実験では、裏面に複数の多角形を配置し、熱を伝える媒体となる砂との接触面積および接触のし易さを変化させた供試体を作製した。作製した供試体を、恒温恒湿室内に設置した砂層に敷設し、赤外線ランプにて吸熱後、表面を断熱して砂層へ放熱させた。この結果、マクロな傾向として、裏面表面積が大きいほど、昇温時の温度上昇が少なく、温度特性の改善効果が高いことが示された。これは、昇温時に裏面から砂層へ熱が伝わりやすくなっているためであることも明示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の検討は、計画どおり、順調に進行している。昨年度から今年度へ移動させた表面形状と再帰反射特性に関する検討も定量的かつ現実的なデータ収集が行えたと考えている。 裏面形状、裏面表面積と砂支持層への放熱に関しては、実験水準も豊富で、当初予定よりも進んだ検討が行えたと考える。蓄えた熱を放熱するという観点での研究計画であったが、実際は、蓄熱中も放熱していること、このことが歩道舗装ブロックの温度低減に有効に機能していることも明示され、当初考えていた結果と比較して深い考察を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、これまでの知見を総合し、再帰反射性の高い表面形状、放熱性の高い裏面形状、降雨時の顕熱輸送量が大きい疎な構造の材質の3点に着目した新規の舗装ブロックを作製し、比較用のものも含め、実環境での曝露試験を行う予定である。 実環境下での曝露試験体でのデータ収集を経ることによって、本研究で検討した温度特性を改善した歩道舗装ブロックが現実的に提案できると考えている。 ただし、曝露場所の選定には少々検討が必要である。夏季の日射が強く、夕立ちなどの水の作用が適当にあり、かつ、裏面は放熱が可能な媒体層となっているのが望ましいため、現在、曝露場所の選定を行っている。
|