研究課題/領域番号 |
26420445
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
福留 和人 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60517548)
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研究分担者 |
齋藤 淳 株式会社安藤・間(技術研究所), その他部局等, 研究員 (60724961)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 養生 / 養生計画 / 湿潤養生 / 水和解析 / 水分移動解析 / 水分センサー |
研究実績の概要 |
コンクリート構造物の性能を確保する上で養生は重要な作業工程であり,養生計画を適切に立案することが重要である。本研究では,養生で達成されるセメントの水和の程度を解析的に予測して養生計画を立案する手法を開発することを目的とする。昨年度は,供試体レベルで養生効果の評価試験および解析を実施した。本年度は,以下に示す部材レベルの実験および解析を行い,セメントの水和解析に基づく養生計画立案手法の開発を進める。 (1)各種養生方法の効果に関する基礎データの取得 各種養生方法による効果の評価には,養生中の内部の水分量を把握する必要がある。本研究では,水分センサーを埋め込んだ小型供試体の一面を種々の方法で養生し,深さ方向の水分量の分布および経時変化を把握することで養生効果を評価した。検討する養生方法は,既存方法として養生マットおよび型枠存置による養生を,近年開発の方法として気泡シートによる給水養生を選定した。実験の結果,水分センサーにより内部の水分量の測定が可能であり,各種養生方法の効果を評価することができた。さらに,透気係数の測定結果との比較により,水分分布測定による養生効果の評価の妥当性を確認できた。 (2)部材レベルの水分移動および水和解析手法の検討 (1)で得られた実験データを用いて性能解析プログラムによる部材レベルの水分移動および水和解析を行い,解析パラメータの同定,解析条件の設定方法等を検討した。その結果,用いた性能解析プログラムにより,深さ方向の水分量分布,経時変化の予測および水和解析が可能であり,各種養生工法の養生効果の評価が可能であることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)各種養生方法の効果に関する基礎データの取得については,水分センサーを埋め込んだ小型供試体の一面を種々の方法(養生マット,給水養生,型枠存置)で養生し,深さ方向の水分量の分布および経時変化を把握することで養生効果を評価した。深さ方向の水分保持効果は,給水養生>養生マット>型枠存置に順で大きく,その効果は,透気係数の測定結果とも相関が高く,水分分布測定による養生効果の評価の妥当性を確認できた。 (2)部材レベルの水和解析手法の検討については,コンクリート材料性能解析プログラムにより,(1)で取得したデータを用いて,部材レベルの水分移動および水和解析を行い,解析パラメータの同定,解析条件の設定方法等の検討を行った。その結果,使用したプログラムにより,部材レベルの水和解析に基づく各種養生方法の養生効果の評価が可能であることを明らかとした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,実構造物における各種養生方法の効果の評価および解析を行うことで,実構造物への適用性を検証する。すなわち,各種養生方法で養生した実構造物の表面からの深さ方向の水分量測定を行い,各種養生方法が構造物中の水分状態に及ぼす影響を把握する。次に,実験で得られたデータを用いて,水分移動および水和解析手法を行い,各種養生方法に応じた境界条件の設定,各種パラメータの設定等の妥当性を検討する。これらの結果の取りまとめを行い,「セメントの水和解析に基づくコンクリート構造物の養生計画の立案手法」の提案を行う。さらに,実構造物を想定したケーススタディーを行い,提案した養生計画立案手法の適用性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験により発生したコンクリート塊の処理を次年度に実施することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に発生するコンクリート塊とともに次年度処理することとする。
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