研究課題/領域番号 |
26420446
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
重松 尚久 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (10321481)
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研究分担者 |
大西 義浩 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (00321480)
河村 進一 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 准教授 (70315224)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 硬質岩盤剥離掘削技術 / 端面掘削方式 / アタッチメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、端面掘削方式による掘削効率を飛躍的に向上できる低騒音・低振動の新しい硬質岩盤剥離掘削技術を開発することである。端面掘削方式は、エネルギー効率が良好なため、従来の機械掘削工法に勝る削孔工法となる可能性が高く、本技術を利用してバックホウなどのアタッチメントを製作することにより、今後増加すると予想される原子力発電所の解体などの無人化施工への適応が期待できる。今年度は、実機を想定したモデル実験により最適な推進力の算定を行い、端面掘削方式による剥離破砕技術の力学的なメカニズムを明らかにしていく。 今回の申請課題では、昨年度完成させた掘削中の排土処理構造を設けた実験装置を用いて、段階的に端面掘削を行える形状のモデル掘削機を製作し、モルタル供試体に対する掘削性能の評価を行った。その結果、端面掘削の掘削段階が進むと掘削効率が上昇していたため、実際の多段型掘削機で掘削を行う際にも掘削段数を増やすと、掘削効率が上昇すると推測された。1回転あたりの貫入深さとトルクTの関係から求められる実験式により1回転あたりの貫入深さからそのときのトルクを予測することができた。また、硬質岩盤や鉄筋コンクリートにおける剥離掘削機を設計・開発するために、掘削効率を向上させるため,芯残りの起こらない刃の最小半径の最適化を行う研究を行った。掘削刃のソケットにひずみゲージを張り掘削刃に作用する力の測定を行うことができた。その結果、センターカッタの最適な間隔の可能性として、最小半径r=52.5mmからr=72.5mm付近に最適な間隔が存在することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度完成させた掘削中の排土処理構造を設けた実験装置を用いて、段階的に端面掘削を行える形状のモデル掘削機を製作し、モルタル供試体に対する掘削性能の評価を行った。掘削機の1段目にはφ12mm、長さ28mmのポイントアタックビットを2本設置し、中心部へフィッシュテールを設置する。2段目以降の段は、それぞれ1段目から30mm広がった位置へ刃が当たるようにφ60mmのディスクカッタビットを2枚、10°の角度をつけて掘削機に設置した。端面掘削の掘削段階が進むと掘削効率が上昇していたため、実際の多段型掘削機で掘削を行う際にも掘削段数を増やすと、掘削効率が上昇すると推測される。今回は40N/mm2以上の強度で実験を行ったため一軸圧縮強度は、定数と仮定した。この経験式を基に今回の実験で得られた実験値の回帰分析を行い、実験式を得た。実験式の相関関数は0.771となり比較的良好な関係を示していた。トルクは1回転あたりの貫入深さの増加に伴い大きくなっていることから、実際の掘削機でも1回転あたりの貫入深さからそのときのトルクTを予測することができると考えられた。 次に、硬質岩盤や鉄筋コンクリートにおける剥離掘削機を設計・開発するために、掘削効率を向上させるため,芯残りの起こらない刃の最小半径の最適化を行う研究を行った。掘削刃のソケットにひずみゲージを張り掘削刃に作用する力の測定を行うことができた。センターカッタの最適な間隔の可能性として、最小半径r=52.5mmからr=72.5mm付近に最適な間隔が存在することが分かった。また、2枚の刃を用いた掘削実験では、設定垂直力の約1/4の水平力が作用することが判明した。今回の測定方法により掘削刃に作用する力を測定することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、硬質岩盤で最適な掘削が可能な先行ビットを開発する。摩耗しにくい高強度のディスクカッタビットをセンタービットに使用することで、硬質岩盤に対して効率よく掘削を行うことができる。この技術を応用して、硬質岩盤でも掘削が可能な先行ビットを開発する。昨年度行った実験を元にして、硬質岩盤や鉄筋コンクリートにおける中心からのディスクまでの距離やディスクカッタビット間の距離を変化させることにより、芯残り(削りのこり)といわれる現象がない最適なディスクカッタビットの配置を実験により決定する。を求めていく。 次に、本工法はポイントアタックビットとディスカッタービットを組み合わせることによって、効率よく剥離破砕を発生できる掘削装置が考えられる。本工法は押しつけ力のみで掘削を制御出来るため、岩盤掘削やコンクリート構造物の解体の無人化施工に応用できる。実機を製作するにあたって最も重要なことは、どのぐらいの反力を確保する必要があるかである。このようなモデル実験や要素実験を行うことによって、押しつけ力に対するそれぞれの反力を把握できるため、実機製作のための重要なデータとなる。同時に、実機製作のための問題点の検証を行っていく。 最後に、基礎的な実験を元にして、掘削刃に作用する応力変化を検知することにより、掘削刃の摩耗度を検知する摩耗度検知システムを開発する。また、それぞれの掘削刃にかかる荷重を制御することにより、最適な掘削速度と掘削刃の摩耗が軽減できる荷重制御システムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
岩盤供試体の購入を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
岩盤供試体を発注する予定である。
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