研究課題/領域番号 |
26420451
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
栗橋 祐介 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30414189)
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研究分担者 |
小室 雅人 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10270183)
岸 徳光 釧路工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30153076)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | RC 梁 / AFRP シート / 衝撃荷重による損傷 / 衝撃荷重載荷実験 / 曲げ補強 / 緩衝材 |
研究実績の概要 |
本研究では,衝撃荷重の作用により損傷した RC 部材の合理的な耐衝撃性向上法として,アラミド繊維製連続繊維(以後,AFRP)シート接着工法を提案し,その効果を敷砂緩衝材を設置した扁平 RC 梁の重錘落下衝撃実験により検討した.試験体の形状寸法は,実ロックシェッド頂版部の 1/4 程度の縮尺とした.すなわち,梁幅×梁高×長さは,450×150×2,400 mm であり,軸方向鉄筋は上下縁にそれぞれ D13 を 4 本ずつ配置した.また,スターラップおよび中間帯筋には,D6 を用い 150 mm 間隔で配置した.敷砂厚は,400 mm とした.AFRP シート接着前の衝撃荷重載荷は,残留変位が純スパン長の 0.5, 1 および 2 % 程度となる落下高さで作用させた.なお,AFRP シートは,梁底面に補強範囲にブラスト処理を施した後,エポキシ系含浸接着樹脂を用いて接着した.測定項目は,重錘衝撃力,支点反力,載荷点変位,およびAFRP シートの軸方向ひずみ分布である. 実験の結果, 1) 残留変位がスパンの 2 % 程度の損傷を有する場合においても AFRP シート曲げ補強によって,扁平RC 梁の耐衝撃性を向上可能であること, 2) AFRP シート補強した扁平 RC 梁は,シートの部分剥離を伴い,上縁コンクリートが圧壊して終局に至ること, 3) 重錘落下高さが大きい場合には,損傷の有無がひび割れ性状やシートの剥離性状に大きな影響を及ぼす傾向にあること,などが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 27 年度の研究では,衝撃荷重により損傷を受けた RC 梁に対しても AFRP シート接着工法により,その耐衝撃性を向上可能であることが明らかになった.損傷レベルは,1) 主鉄筋が降伏せず残留変位をほとんど生じない(使用限界状態相当)レベル,2) 主鉄筋は降伏するものの上縁コンクリートの圧壊には至っていない(修復限界状態相当)レベル,3) 主鉄筋が降伏し上縁コンクリートも圧壊する(終局限界状態)レベルを設定した. 衝撃荷重載荷実験の結果,上記の修復限界状態のみならず,終局限界状態相当の損傷レベルにおいても,AFRP シート接着工法により,耐衝撃性を向上可能であることが明らかになった. ただし,事前載荷による損傷度合いが大きい場合や,補強後の重錘落下高さが大きい場合には,AFRP シートは破断しないものの,部分剥離が生じることを,シートの軸方向ひずみ分布の経時変化から明らかにした. これらの研究成果や関連する成果は,土木学会構造工学論文集やコンクリート工学会年次論文に投稿済みである.
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今後の研究の推進方策 |
平成 28 年度は,本採択研究テーマの最終年であるため,これまでの研究成果を総括して,AFRP シート接着工法による RC 梁の耐衝撃性向上効果におよぼす衝撃荷重による損傷レベルの影響について整理する.現在,構造工学論文に投稿すべく目下執筆中である.なお,AFRP シートの目付量が小さい場合や,炭素繊維製(以後,CFRP)シートを用いる場合についても比較検討するとともに,数値解析的検討を実施し,より汎用性の高い研究成果となるように努める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
段階的な実験実施計画とし,RC 梁試験体数を当初よりも減じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
RC 梁試験体を製作する.
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