研究課題/領域番号 |
26420452
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松崎 裕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10506504)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免震支承-RC橋脚系 / 非線形応答 / 損傷配分 / 耐力比 / 経年劣化 |
研究実績の概要 |
免震支承-RC橋脚系は、免震支承の降伏荷重をRC橋脚の降伏荷重に比べて小さくすることで免震支承を先行して塑性化させて、免震支承において主たる地震エネルギーが吸収されるように設計されている。すなわち、レベル2地震動に対して、免震支承については、せん断ひずみ250%までに抑えて安定的なエネルギー吸収を保証するとともに、RC橋脚については、非免震橋に比べて限定的な塑性変形に抑えるように設計がなされている。ここで、免震支承には大きなせん断ひずみ領域でハードニングが生じる特性がある。そのため、設計地震動を超過する極大地震動に対しては、免震支承に作用する水平荷重が増大することを踏まえ、万一の終局的な損傷が生じた場合の復旧性にも配慮して、部材間における損傷配分を意識した設計を行う必要があると考える。 平成27年度は、平成26年度の検討結果を踏まえて、特に設計地震動を超過する極大地震動作用下における地震時安全性確保に向けた種々の検討を行った。その結果、レベル2地震動に対して、免震支承が先行して塑性化するように設計されていても、構造系の終局的な損傷として、免震支承の破断が生じるのか、RC橋脚が終局に達するのかは構造系によって異なることを示した。特に免震支承の破断が生じた場合は長期の復旧期間を要することから、終局的な損傷モードが不明確であることは、復旧計画の事前の立案・事後の実施において大きな課題がある。さらには、上記のように免震支承を先行して塑性化させるとともに、免震支承のハードニング開始点における水平荷重をRC橋脚の終局耐力よりも大きくし、部材間の終局耐力比に配慮することを提案した。これにより、設計地震動を超過する地震動が作用する場合でも、復旧期間が長期化する免震支承の破断を防ぎ、免震支承における安定的なエネルギー吸収を保証した上で、構造系としての地震時安全性を向上させられることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度および平成27年度の検討により、健全な免震支承-RC橋脚間の耐力比と損傷配分の関係を明らかにするとともに、免震支承の経年劣化が免震支承-RC橋脚系の地震応答に及ぼす影響についても検討結果をまとめており、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度および平成27年度の検討により、健全な免震支承-RC橋脚間の耐力比と損傷配分の関係、免震支承の経年劣化が免震支承-RC橋脚系の地震応答に及ぼす影響が明らかになったので、平成28年度は、これらの検討結果を統合するとともに、さらに進展させ、免震支承の経年劣化の影響を踏まえた上で、ライフタイムにわたって所要の地震時安全性を確保できる免震支承-RC橋脚系の設計法の構築に向けた検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、平成26年度に行った研究の成果を含めて、国内誌および国内会議における研究成果の発表に対して主に研究費を使用したが、日程の関係で国際会議における成果発表が予定通りに行えなかったため、また一部の調査・研究を効率よく推進できたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、引き続き、免震支承の力学的特性および経年劣化の影響に関する調査・資料収集を行うとともに、学術雑誌や国内会議での発表だけでなく、国際会議での発表も予定している。そうした調査・資料収集・成果発表のための旅費、解析的検討、それを補完する実験的検討に使用する予定である。
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