高度経済成長期に建設された道路橋RC床版は、大型車輌の交通量の増大に伴い疲労損傷が発生している。とくに、伸縮継手の段差を通過した付近の床版に多く発生している。この主たる原因は、大型車輌が伸縮継手を通過することよって発生する振動荷重、あるいは段差によって発生する衝撃によるものと考えられる。 しかし、荷重変動、すなわち振動荷重による輪荷重走行疲労実験が出来る装置は日本大学が開発した本装置のみであり、走行振動荷重が及ぼすRC床版の耐疲労性の検証が必要である。 そこで本研究は、2015年から2016年前半では実橋RC床版の1/2モデルとした供試体、2016年後半では3/5モデルの供試体を用いて一定荷重による疲労試験および荷重変動、すなわち振動荷重を基準荷重±20%(基準100kNの場合上限荷重120kN、下限荷重80kN)および±30%(基準100kNの場合上限荷重130kN、下限荷重70kN)の正弦波形による振動荷重で実験を行い、一定荷重のみで疲労試験を行ったRC床版の走行回数を基準に耐疲労性を評価した。その結果、基準荷重100kNに対して±20%、±30%の振動荷重が及ぼすことにより一定荷重による疲労実験の等価走行回数に対して、それぞれ39%、12%であり、大幅に寿命が低下する結果が得られた。したがって、伸縮継手の段差によって生じる大型車輌の荷重変動を最小限にするためには出来るだけ平滑な段差の維持管理が重要となる。また、衝撃の影響を受けることから床版厚の検討も必要になると考えられる。
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