研究課題/領域番号 |
26420469
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
頭井 洋 摂南大学, 理工学部, 教授 (30236062)
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研究分担者 |
田中 賢太郎 摂南大学, 理工学部, 講師 (50529724)
松村 政秀 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60315976)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 桁橋制震装置 / 軸方向疲労 / 軸直角方向疲労 / 曲げ疲労 / 板曲げ加工 |
研究実績の概要 |
桁橋制震装置鋼製ベローズについて,製作時板曲げ加工による残留ひずみや加工硬化の影響を受けにくい構造への改良策として1)小円部をなくしリブ付き補強板で固定した改良型ベローズ,2)大円部半径Rと小円部半径rの比を1に近づけたベローズの2案につき軸方向低サイクル疲労実験を実施し,従来より疲労強度が向上することを確認した. 部分模型載荷実験装置を曲げ疲労試験が可能な装置に修正変更し,静的曲げ試験を実施しベローズの曲げ変形に伴う応力ひずみを計測し計算値と比較した.大円部半径Rと板厚tとの比 R/tが10以上の中剛性の場合に生ずる応力ひずみは小さく,疲労強度で問題となる可能性は小さいことを確認した.曲げ疲労試験用に試作した加振装置は加振力が小さく十分な振幅を与えることはできなかった.より大きな加振力が得られるよう改良案を策定中. 部分模型載荷実験装置の固定方法を改良し,軸直角方向用疲労試験装置を製作した.固定部や桁取り付け部の強度は向上した.しかし,試験体を設置した桁の鉛直軸回転を防止するガイドの強度が十分でなく,繰り返し載荷とともにローラーが損傷し鉛直軸回転を生じた.改良案を策定中. 異なる鋼種から冷間曲げ加工により製作した同一形状の小型鋼製ベローズを用いて静的変位載荷実験を行い,荷重変位関係,エネルギー吸収量,耐荷力特性を調べた.そして鋼種によらず±50 mm 程度の繰返し振幅であれば安定したエネルギー吸収が期待できること,FEM解析により鋼製ベローズの荷重変位関係およびエネルギー吸収量を近似するには曲げ加工に伴う降伏点の上昇を考慮することが必要であり,曲げ加工による降伏点の上昇を簡易的に考慮したモデルが実験値に近い値を示し有効であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)軸直角方向の疲労実験用に,前回の科研費で製作した加振装置を改良して実験を実施したが,試験体を取り付けた桁の拘束が不十分で鉛直軸周りの回転が生じた. 2)曲げ疲労実験の加振装置を試作したが,十分な加振力が得られなかった. これら2点の改良を行い,1年目の遅れを取り戻すようにしたい. 製作時板曲げ加工の影響を受けにくい構造へ改良したベローズの軸方向低サイクル疲労実験,ばね支持した静的な曲げ試験については所要の結果が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
載荷軸桁の鉛直軸回転が生じないように,直角方向用疲労試験装置の摩擦抵抗を低減するために設置していたローラーをすべて無くし,面接触とし摩擦抵抗はグリース等の潤滑剤を用いるように改良する.改良後,改良型ベローズおよび大円部半径Rと小円部半径rの比を1に近づけたベローズの軸直角方向用疲労試験を実施する.大円部半径Rと板厚tとの比 R/tを変化させた試験体を用いる. 曲げ疲労試験用加振装置をより大きな加振力が得られるよう改良する.具体的には加振モーター,平歯車,付加質量等を大きくする.改良後,改良型ベローズおよび大円部半径Rと小円部半径rの比を1に近づけたベローズの曲げ疲労試験を実施する. 大円部半径Rと板厚tとの比 R/tを変化させた試験体を用い,静的曲げ試験を実施しベローズの曲げ変形に伴う応力ひずみを計測し計算値と比較する. ベローズの適用対象を2径間単純桁2連モデルに限定し,レベル2地震動により生じる桁の最大応答変位を桁軸方向および軸直角方向ともに40mm以下に抑え,桁や中間橋脚の損傷を限定した範囲に留める要求性能2を満足できるベローズの必要諸元を非線形地震応答解析より求める.
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に実施予定であった実験の実施に際し試験体の形状を見直す必要が生じ H26年度内には実験を実施しなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度に実施予定であった実験の実施に研究費を充当する 京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻 准教授 松村 政秀 分
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