研究課題/領域番号 |
26420475
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
木幡 行宏 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90215301)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 流動化処理土 / 三軸圧縮試験 / 繊維材補強 / 変形係数 / 原位置作製供試体 |
研究実績の概要 |
本研究では,繊維材をそれぞれ,0,10,20 kg/m3で添加した繊維材混合流動化処理土を大学構内に作製したピットに埋戻し,そこからサンプリングされた供試体と現場打設試料と同じバッチで室内養生された供試体に対し,養生日数を28,90,120,150日として,98 kPaの等方応力条件下で圧密非排水三軸圧縮試験(CUB試験)を行い,繊維材混合流動化処理土の室内・原位置作製供試体の三軸せん断特性に及ぼす養生日数の影響について比較,検討を行った.その結果,以下の知見を得た. 1)繊維材混合流動化処理土のq~εa関係において室内養生供試体に比べ現場養生供試体のほうが,最大軸差応力qmaxが,概ね,大きくなる傾向にある.また,現場養生供試体においても,繊維材を混合するとピーク後の脆性的性質が改善されることが分かった. 2)初期変形係数E0 は,室内・現場養生供試体ともに,養生日数120日まで増加傾向を示すが,その後減少傾向を示した.これは,養生環境による含水比低下の影響に起因すると考えられるが,今後,さらなる検討が必要である. 3)Eeq/E0~q/qmax関係から,繊維材量に依らず,養生日数120日までは,q~εa関係の非線形性が,概ね,減少する傾向が見られた. 4)せん断に伴う損傷程度は,養生環境やサンプリング時あるいは脱型時の乱れの影響に依存すると考えられるが,概ね,養生日数の増加とともに,損傷程度は小さくなる傾向にあると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,都市域の掘削地盤における埋戻し材として,地盤の耐震補強が期待できる繊維材混合流動化処理土を用いた場合,どの程度の補強効果が期待できるものかを実際のモデル地盤において検討するという着想のもと,大学構内のピットにおいてモデル地盤を作製し,ブロックサンプリングによる乱さない試料に対する非排水三軸試験,およびモデル地盤を対象とした小型FWD試験を実施することによって,繊維材混合による地盤の補強効果と地盤の非一様性の程度を詳細に検討するとともに,力学特性に及ぼす養生日数の影響を明らかにすることを目的とした研究である.当該年度においては,当初の計画通り,大学構内ピットでの繊維材混合流動化処理土埋戻しモデル地盤の作製して,モデル地盤からブロックサンプリングにより採取した不攪乱試料に対して,せん断中に微小な除荷/再載荷を含む三軸圧縮試験を実施し,変形係数のひずみレベル依存性,せん断応力レベル依存性について把握し,三軸せん断特性に及ぼす繊維材および養生日数の影響を検討した.さらに,作製したモデル埋戻し地盤において,小型FWD試験によって,原地盤の剛性評価を行った。また,モデル地盤に対して実施した小型FWD試験(原位置試験)から得られるK値と三軸圧縮試験(室内試験)から得られる変形係数の比較検討から,小型FWD試験から得られるK値の妥当性を検討した. 以上より,計画通り研究は進展しているが,モデル地盤の非一様性の検討までは至らなかったことから,「おおむね順調に進展している.」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては,平成27年度においても大学構内のピットにおいてモデル地盤を作製し,昨年度の結果のバラツキを再検討するため,モデル地盤において小型FWD試験を実施し,原地盤の剛性評価を行い,養生日数の影響を検討するとともに,モデル地盤の非一様性の検討を行う。さらに,流動化処理土の配合試験を実施し,実地盤に適用可能な流動化処理土の作製方法を検討する計画である.
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