本研究では,凍結過程における飽和含水岩石の熱拡散率に及ぼす間隙のサイズ・形状の影響について検討した。その結果,飽和含水岩石の熱拡散率に及ぼす間隙水の影響は,「粘土鉱物中の水」と「鉱物粒子間の水」で異なり,鉱物粒子間に存在する水の凍結は飽和岩石の熱拡散率温度依存性に大きな影響を及ぼすが,粘土鉱物に保有される水(具体的には,吸着水,層間水,および体質水)は熱拡散率の温度依存性に関与しないことを明らかにした。さらに,粘土鉱物に保有される水の凍結の有無について検討を行ったが,それについては明確な結論を得ることができなかった。
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