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2014 年度 実施状況報告書

有機態ヒ素の動態解析に基づく沖積低地の地下水流動・ヒ素管理モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 26420481
研究機関岐阜大学

研究代表者

佐藤 健  岐阜大学, 工学部, 教授 (80135326)

研究分担者 加藤 雅彦  岐阜大学, 工学部, 助教 (00578312)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード地盤環境 / 地下水資源管理 / ヒ素動態解析 / 有機態ヒ素 / 無機態ヒ素
研究実績の概要

1.堆積物に含有されたヒ素の存在形態を無機態と有機態に分画できることを予備実験で確認して研究を進めた.既往研究が地下水へのヒ素の溶出要因に着目してきた.本研究は,無機態,有機態ヒ素の形態別にヒ素起源を解明し,その後の形態変化と動態をモデル化したいからである.
2.分子量10,000の透析膜で,無機態ヒ素と有機態ヒ素の分画が工学的に可能である.
間隙水中の溶存有機物量(DOC)は,堆積物に含有された無機態ヒ素の溶出を抑制し,有機態ヒ素の溶出を促進する役割を果たす.
3.間隙水のpHは,堆積物中の鉄酸化物に吸着した無機態ヒ素と有機態ヒ素の溶出に影響を及ぼす.ヒ素溶出間隙水への酸添加によって,間隙水中のDOCとヒ素の濃度が6割減少する.これは,間隙水に溶出したヒ素の6割は有機態ヒ素であることを示唆する結果である.しかし,自然堆積したヒ素含有堆積物からのヒ素溶出に伴うpH変化は小さい.自然状態では,ヒ素溶出自体が間隙水のpH変化に影響は与えることは少なく,pH変化は間隙水中のDOCとヒ素の溶存量に大きく影響を及ぼさない.
4.ヒ素含有堆積物の溶出試験から,間隙水に溶出したヒ素の形態は,8割が無機態ヒ素,2割が有機態ヒ素である.ヒ素含有堆積物下位の帯水層堆積物のヒ素吸着特性として,無機態ヒ素7割,有機態ヒ素4割の吸着率が得られた.これらの実験結果は,帯水層中の地下水の有機態ヒ素の存在比率が,ヒ素含有堆積層から帯水層地下水への間隙水移動の過程で帯水層堆積物への吸着現象によって相対的に高まることを示唆する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

吸着速度定数を評価できていないので(3)の評価とした.有機態ヒ素の溶出と吸着挙動に影響を及ぼすDOCの寄与率が概略確定でき,流動モデルの中で流動に伴うヒ素の形態変化を反映する仕組み作りに目処がついた.吸着平衡時における有機態ヒ素の固液分配は予定通り完了しており,動的パラメータの決定を次年度実施する.

今後の研究の推進方策

1.pHとDOCを影響因子にして反応速度試験を実施し,溶出時間に伴う地下水中の有機態ヒ素の存在比が高まることを検証する.
2.溶出した「有機態ヒ素」の変質と吸着量,吸着速度との関係を解明する.一般に,有機物は微生物によって分解される.分解に伴って有機物の分子量が小さくなり,表面化学構造も変化するので,「有機態ヒ素」の吸着挙動が変わることが想定される.変質によって「有機態ヒ素」の吸着量や吸着速度の変化を定量化する.
3.「有機態ヒ素」に人為的に微生物を添加,有機態ヒ素の変質を促す.培養期間は1年とし,経時的に「有機態ヒ素」の化学構造分析を行う.また炭素回収率から分解速度を求める.回収した有機態ヒ素を用いた吸着実験を行い,分配係数,反応速度定数を求める.

次年度使用額が生じた理由

吸着,溶出実験のサンプル数が大幅に増加し,検液の分析に使うアルゴンガスなど消耗品費(物品費)が増加した.検液分析には岐阜大学生命科学総合支援センター機器分析分野の計測機器を使用しており,長年の計測技術の向上で使用料は当初経費を大幅に削減できた.消耗品費(物品費)増加分への充当を当該助成金の「その他」から捻出した結果,次年度使用額として12406円が発生した.

次年度使用額の使用計画

次年度消耗品費(物品費)に合算し,濾過用フィルター,ガラス器具など実験の消耗品費に当てる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 濃尾平野南西部のG1地下水圏における無機態ヒ素,有機態ヒ素の吸着挙動2014

    • 著者名/発表者名
      河合祐輔,加藤雅彦,佐藤健
    • 学会等名
      土木学会平成26年度全国大会第69回年次学術講演会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12
  • [備考] 環境地盤工学研究室ホームページ

    • URL

      www1.gifu-u.ac.jp/~env_geo/top page.html

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公開日: 2016-05-27  

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