本年度は,昨年度に引き続いて,極超微粒子セメント系改良材と,水ガラスにカオリンを混合した改良材について,一次元浸透実験と一軸圧縮試験を行った。 極超微粒子セメント系改良材の一次元浸透実験は,ケイ砂5号,6号,7号の試料を用いた。異なる相対密度でアクリル管に作製した土層に対して,浸透注入実験を行った。注入時は,上部から排出される溶液を採取し,排出液に含まれる固形成分の質量を計測した。14日間養生後に一軸圧縮試験を行った。排出液の時間と濃度の関係から,一次元移流方程式を用いて固形成分の吸着量の分布を求め,一軸圧縮強さとの関係を調べた。本年度の結果に加え,これまでの研究成果も総合的に考察した. その結果,吸着された極超微粒子セメントの質量と一軸圧縮強さは比例関係にあり,その比例関係は土粒子の粒径や相対密度によって異なることが分かった。 水ガラスにカオリンを混合した改良材の一次元浸透実験では,5号ケイ砂と6号ケイ砂を試料として用いた。相対密度は60%とした。一次元浸透実験後に28日間養生し,一軸圧縮試験を行った。水ガラスにカオリンを混合することにより一軸圧縮強さが増加すること,その増加量は土粒子の粒径やカオリンの混合量,水ガラスの濃度の影響を受けることがわかった。 ただし,これらの実験結果を整理し,懸濁型改良材を地盤に注入した際に形成される固結体の半径や一軸圧縮強さを推定するという当初の目的までは達することができなかった.十分な実験量があるので,まずはこれらの実験結果を整理して考察し,改良材を浸透注入する際の適切な配合設計方法を確立させるという当初の目的に対して,引き続いて研究を行っていく予定である.
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