研究課題
本研究では,降雨の作用を受けるアンカー式補強土壁の耐震性能を調べるために,地下水が高い状態にある補強土壁の遠心力場振動台実験を実施した。裏込め地盤には,豊浦砂を採用し,湿潤締固め法により,相対密度が40,65%になるように模型地盤を作製した。また,排水補強パイプをモデリングして,地下水低下の効果を検証する実験も実施した。これらの実験結果より,裏込め地盤密度が緩い場合においても,地盤内に過剰間隙水圧が発生することはなかった。むしろ,補強領域背面では,負の過剰間隙水圧が観察されたことから,地震動に対して補強領域が一体となって滑動したことが示唆された。すなわち,アンカープレートの引抜き抵抗が適切に発揮されれば,通常の施工と比較して極端に小さない締固め密度の裏込め地盤でも,修復可能な範囲の変形におさまることが分かった。このことから,この種の構造物の耐震性能の高さを改めて示すことができた。一方で,排水補強パイプによるメンテナンスを想定したモデル実験では,排水効果による壁面近傍の水位低下効果によって,壁面土圧上昇を抑制することによって安定性が向上したことと,補強領域自体の自重増加の抑制に伴い地震時慣性力の増加を抑えられたことから,変形量が小さくなったものと考えられる。ここで,排水補強パイプの長さが補強領域から背後地盤へ出ないような場合は,それ自体の補強効果よりも,地下水を低下させることによる地震時安定性の効果が顕著であった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件)
Japanese Geotechnical Society Special Publication
巻: Vol. 4, No. 2 ページ: 13-16
巻: Vol. 4, No. 2 ページ: 9-12
Geotechnics for Sustainable Infrastructure Development
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Geotechnical Hazards from Large Earthquakes and Heavy Rainfalls
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