研究課題/領域番号 |
26420496
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉展 愛媛大学, 農学部, 准教授 (90414036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 積雪期間 / 積雪深 / 積雪密度 / 冬季降水量 / 積雪・融雪モデル / 降雨流出解析 |
研究実績の概要 |
昨年度に設置した白山室堂センター(標高2446m)、白山南竜山荘(標高2080m)、白峰(標高470m)、石川県林業試験場(標高220m)でのタイムラプス・インターバルカメラと温湿度計のデータ回収を行い、現地観測データの取得状況を確認した。その結果、白山山頂付近に設置したカメラの画像データがバッテリー切れのため積雪期間の途中で終了していたことが判明したため、本年度は、タイムラプスカメラの電源容量を拡張し、再度設置することにした。 タイムラプスカメラと積雪深計データを用いて積雪深と積雪期間の推定値の精度検証を行った結果、積雪期間については良好に再現されていたが、積雪深については圧密を考慮していない影響で再現性が悪くなることがわかった。そこで、積雪開始からの経過日数を変数とする積雪密度モデルを導入し、モデルによる積雪深の推定値が実測値と一致するようにパラメータの同定を行った結果、標高別の積雪深の経時変化を良好に再現できることが確認できたので、その成果の一部を国際学会(IUGG2015)にて発表した。 UAV(小型無人航空機:DJI Phantom2 Vision+)による空撮映像から流域内の積雪分布(面積)や積雪量(体積)の推定を試みたが、画像解析ソフトウエア(Pix4D, Photo Scan)による積雪画像の3D(立体)化が難しく、また飛行高度(視界の範囲内)・飛行時間(20分程度)の制約から、森林流域における積雪・融雪モデルの精度検証用にUAVを用いるのは現時点では困難であると判断された。(GPSを補足できる条件で250m四方の空撮が現有機材での限界なので、1kmメッシュの分布型モデルの精度検証用としては実用的ではないと判断した) この代替策として、総合気象センサー(Lufft社製WS600:ドップラー式降雪計)を導入し、従来の転倒マス雨量計による観測結果と比較することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書作成時に計画していた以下の内容まで実施できている。 ・冬季長期降雪モニタリング観測データの取得(標高別) ・現地観測データを用いた積雪・融雪モデルの精度検証(積雪密度モデルの導入) ・積雪モニタリングシステムの改良(電源容量) ・冬期降水量観測システム(新規)の設置
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今後の研究の推進方策 |
本年度から導入した総合気象センサーにより、冬季における詳細な気象データの時系列情報をタイムラプス・インターバルカメラによる空間分布情報と同時に取得できるようになるため、これまで実態把握が困難であった多雪山地流域における積雪水資源量の定量的評価(モデル化)に不可欠な、雨雪判別気温、相対湿度、降雨・降雪の分離計測、風速等の気象データと積雪深のデータを一括して蓄積し、その現地観測データを元に、冬季降水量の実態把握(従来型の転倒マス雨量計による冬季降水量の捕捉率)、雨雪判別モデル、冬季降水量補正モデル、積雪モデル、融雪モデルの改良を実施し、流出解析モデルへの入力気象データの精度向上と流況再現性の向上を試みる。 また、改良されたモデルを用いて、将来の気候変動(温暖化)条件下における流域環境の変動予測と水資源への影響を評価し、得られた結果(最終成果)を学会・論文等で公表する。
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