研究課題/領域番号 |
26420497
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒岩 正光 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10225279)
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研究分担者 |
太田 隆夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70233129)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海岸侵食 / 漂砂 / 海浜変形 / 養浜 / サンドリサイクル / 数値モデル / 海浜流 |
研究実績の概要 |
本研究では,海岸侵食対策の実施において,効率良い適切なサンドリサイクル手法を検討するためのツールとしての土砂投入を考慮した高精度3次元海浜変形予測モデルを構築することを目的としている。本年度は、土砂養浜を考慮した3次元海浜変形予測モデルの開発の第1段階として以下のことを実施した。なお、対象としている現地海浜には人工リーフが設置されており、その影響も検討する必要があるため、人工リーフ周辺の水理特性も検討している。 (1)人工リーフ周辺の水理特性に関する模型実験 : 現有の鉛直2次元不規則波造波水槽を用いて模型リーフ背後,開口部の波高および流速分布を測定し,天端幅,天端水深,リーフ設置位置などを変化させて模型実験を行った。 (2)人工リーフ周辺における波と流れの数値モデルの構築 : 本研究で開発するモデルは、人工リーフ開口部の強い沖向き流れによる影響を考慮できるよう波と流れ共存場の波浪モデルを適用している。海浜流モデルは鉛直方向も考慮できる準3次元モデルをベースとしている。本年度は波浪モデルに含まれる回折項の与え方、砕波減衰項の取扱いを模型実験結果との比較から検討した。波浪および海浜流モデルの適用性については、模型実験結果と既に実施されている浦富海岸における波浪及び海浜流の観測結果と比較した。さらに、次年度の検討予定の浚渫と土砂投入を考慮した海浜変形モデルを用いて簡単な地形でのサンドリサイクルやサンドバイパスを想定したモデル計算を行い妥当性を検討した。 (3)現地調査に基づく地形変化について:本研究で対象とする浦富海岸において、RTK-GPS測量とマルチコプターによる空撮を併用した新たな海浜変形モニタリング手法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である3次元海浜変形予測モデルに含まれる波と流れのサブモデルの構築は概ね完了した。実験結果と既往の現地観測結果との比較からモデルの妥当性も確認された。 本年度は、さらに次年度の予定である土砂投入を考慮した海浜変形予測モデルのベースとなる部分を構築し簡単なモデルテストを行い妥当性を検討することもできた。数値モデルの開発の進展状況としては、当初の計画より進展している。現地調査においては、深浅測量の予定であったが、陸域の養浜後の海浜地形変化を効率良く測る手法を検討する必要が生じたため、本年度導入した高精度RTK-GPS機器と併せた新たな測量手法としてマルチコプターによる空撮による陸域の海浜測量の試みを行った。そのため、当初予定であった深浅測量を実施しなかった。 以上、モデル開発においては予定より進捗状況は良いが、現地調査の内容を変更した。したがって、今年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
【平成27年度】 初年度に土砂投入モデルのベースを構築した。そこで、次年度以降は漂砂量モデルの検討と汀線変化計算モデルの導入を行う予定である。モデルの検証は現地データとの比較を行っていく予定であり、その検証データとして、サンドリサイクルが実施されている鳥取東部の浦富海岸と西部の皆生海岸の海浜測量を定期的に実施する。 【平成28年度】平成27年度に引き続き,皆生海岸および浦富海岸おいて,土砂投入位置周辺の深浅測量を実施する. また、両海岸で実施されてきた既往の測量結果を整理し、モデルの検証用としてデータベースを構築する。そのデータを用いてモデルの適用性を検討する。 【平成29年度】 最終年度はモデルの現地適用性を検討する。モデルに含まれる諸係数,特に漂砂量係数を同定する必要があるため,まず,土砂投入付近の短期(数か月程度,数回の時化)における地形変化計算を行い,現地調査結果と比較する. これらの結果をもとに,対象領域全体の土砂投入による地形変化再現計算を試みる.再現期間は数年程度とする.対象海岸は,皆生海岸および浦富海岸とする。 さらに、混合粒径モデルを用いた粗粒材養浜の効果検討するモデルの構築も試みる予定である。
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